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CPQと紳士服のマスカスタマイゼーション

  • Osamu Urakawa
CPQと紳士服のマスカスタマイゼーション

お客様から教えてもらった国内CPQ事例

CPQの販売を開始してから間もない2017年9月のある夜のことでした。あるお客様から「東京・青山にICTを駆使したオーダメイドの紳士服店があるよ」と言われ、早速、その場でiPhoneを使い、そのお店のことを調べてみると、まさに、それは「紳士服業界におけるマスカスタマイゼーションのビジネスモデル」であることが直ぐにわかった。

後日、ネットでさらに詳しく調べて見ると、このオーダースーツブランド「ディファレンス(DIFFERENCE)」は紳士服のコナカが進めている新業態で、2016年10月から東京の青山のフラッグシップ店から順次展開している新しいビジネスモデルであるということであった。また、その事業企画には著名なクリエーティブディレクターなどが参画しており、「エコシステム」の体であった。

しかし、予てから国内の「CPQ」もしくは「マスカスタマイゼーション」に関連するニュースはもちろん、SNSなどにもアンテナを張っていたにも関わらず、CPQを提供している自分らにこのまさにマスカスタマイゼーションの手法を用いていて、簡易版CPQと言っても良い、このCPQのニュースをGアラートで入手出来なかったしくじった気持ちよりも、「何故、この話題をピックアップ出来なかったのか?」という不思議な気持ちになっていた。

「まさにCPQ」をCPQとは言わない日本

私たちは国内での「CPQ」や「マスカスタマイゼーション」の関連するニュースやネット上の話題を収集するために、Googleアラートを利用している。そのため、会社のメールに寄せられるそれら集まって欲しい情報に関するネット上の話題のほとんどは、外資系CPQベンダーのものや精密機器メーカの事例に関するネット情報であり、このオーダーメイドの紳士服を提供している「ディファレンス(DIFFERENCE)」のものはピックアップすることが出来なかった。

しかし、「ディファレンス(DIFFERENCE)」に関する記事のいくつか見てみると、その理由が見えて来た。

『Gアラートで定義している検索キーワード』

  • CPQ
  • マスカスタマイゼーション
  • 多品種少量生産
  • AI(人工知能)
  • 見積ソリューション

その理由とは、私たちCPQベンダーが想定していたのような上記のようなバズワードがそれらの記事にはひとつも見当たらなかったということです。つまり、CPQベンダーが、そのビジネスがCPQか否かと判断、定義するとき、その判断基準となるいくつかの構成要素が「含まれていない説明の仕方」で欧米で言うところのCPQを実践していたわけです。

『DIFFERENCEの出店に関するニュース内のキーワード』

  • スマホでオーダースーツを作れる(ツールとビジネスモデル)
  • クリエイティブディレクター(プロジェクト企画・推進の主役)
  • 佐藤可士和(クリエイティブディレクター)
  • オーダーメイド(カスタムメイド)
  • 紳士服のコナカ(事業主体)

CPQは「プロダクトアウト」なコンセプトか?

著作権の関係でニュースそのものを転載しないが、ニュース本文を見てみても、CPQテイストはまったく感じられないテキストで、プレスリリースを書いたライターたちもこの「ニュースソース」に対して、「これはCPQなのだ」という直感が働かなかったのであろう。いや、もっと言うと、彼らはCPQというを料理を味わったことが無い(知らない)ので、このような結果(CPQ関連のキーワードでニュースがピックアップ出来ないこと)になったのであろう。これはもしかすると、日本市場にCPQ(筆者は複雑でない製品構成の商品もCPQソリューションの対象と考えている)を提供する時に、ソフトウェアを提供するベンダーが心得ておかないとならないことで、我々ソフトウェアベンダーが「知っていて当たり前」「知らない企業は遅れている」などプロダクトアウト的な立ち位置から情報発信をしている以上はこの状況は変わらないのかもしれない。

顧客ロイヤリティに「はまって」しまった。

かく言う私も、実は2週間前に採寸して、オーダーしたDIFFERENCEのスーツがお店に到着したとの連絡メールをもらったのであった。その夕方には、仕立て上がったばかりのスールとYシャツを受け取りに行き(通常は自宅など指定された場所に配送される)、試着して見たが、たいへん高い満足感を得て帰ることができた。 この分では、2着目はスマホからでも「カスタマイズしてオーダー」が出来るため、「スマートに手に入れる」という心地良さを体験するために、秋風が冷たくなってきたことも後押しして、冬物のスーツを「ポチッ」とオーダーしてしまうような気がしてならない。

海外アパレル業界のCPQリスト

今回ご紹介したこの事例以外でも、製品構成としてはそれほど複雑ではない日本のアパレル業界でもCPQの普及が進む日は近いであろう。

最後に、なぜ、そう思うかというエビデンスとして、海外のアパレル業界でのCPQソリューションを用いたWebサイトのリスト(167サイト)をご紹介しておきましょう。

次回は当社の事例だけでなく、海外でのCPQ導入事例を各分野別(食品、建築、車両など)のものをいくつかピックアップして紹介します。

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