はじめてのCPQ導入ガイド
CPQでDXを成功させる方法
複数のコンフィギュレーションを持つ製品を製造しているメーカー様、または複雑なサービスを提供しているサービス業者様向けのガイドです
はじめに
市場シェアを維持・拡大するために、メーカーやサービス・プロバイダは、できるだけお客様にストレスを感じさせることなく、スムーズな販売対応をする必要があります。見積のやりとりというのは販売対応の中で必ず発生するものですが、お客様は常にタイムリーで正確な見積を求めており、見積発行の遅れや見積内容のミスは、時に信頼関係の構築にも影響を及ぼすため特に重要です。営業担当者は自社の高いサービスレベルを示すためにも、お客様の期待に応えて素早く正確な見積を提出する必要があります。
Configure Price Quote(CPQ)*ソリューションは、営業担当者が正確なコンフィグレーションと一貫した収益性の高い価格設定で迅速に見積を提供するために必要なツールを提供します。
*CPQとはConfigure(製品構成)、Price(価格設定)、Quote(見積作成)の頭文字をとった略語です。
本資料はCPQについての概要や主な機能、メリット、導入の留意点等を紹介し、これから導入を検討する企業の担当者の方々にお役に立つよう作成したガイドブックです。
- 顧客へのサービス向上
- 正確な社内承認済のデータと方法を営業チームに提供し、営業が販売する事により多くの時間を割けるようにする
- 既存のエンタープライズアプリケーションへの投資収益率を高める
CPQの機能
CPQシステムには何が含まれますか?
“C” - 製品コンフィギュレーター
製品コンフィギュレーターは、CPQシステムの強力な機能です。ここでは、モデル選択、製品仕様、サイズ、材料選択などのルールがシステムに組み込まれています。技術者が手作業で見積を承認するプロセスは、自動的に適用されるルールに変換され、見積プロセスを大幅に迅速化し、より利用しやすくなります。
CPQの製品コンフィギュレーターでは、ユーザーの選択によって利用可能な選択肢が決定されるため、誤ったコンフィギュレーションがされることはありません。営業担当者が選択項目を入力することも、代理店や顧客向けウェブサイトなどの他の販売チャネルが同じガイダンスとルールを使用して見積を作成するように設定することもできます。
より迅速な見積
製品選択ロジックとルールがコンフィギュレーターに組み込まれているため、製品選択や価格に関するボトルネックのほとんどが取り除かれます。CPQソリューションの製品コンフィギュレーターでは、すべての販売チャネルが一貫したガイドラインに即座にアクセスできるため、余分な承認ステップが不要になります。価格モデルは一元管理されているため、見込客から見積の依頼があった際に、営業担当者がわざわざ探す必要がありません。
オンボーディングと市場投入までの時間を短縮
新人営業担当者は、CPQが提供するガイデッドセリングという製品選択のための充実したガイダンス機能を使って、自信を持って製品構成を勧めることができます。CPQがあれば、複雑な「設定方法」の説明会など実施しなくとも、新しい製品やオプションをすぐに導入することができます。
技術・製造部門の負担軽減
各製品構成のレビューと承認に技術部門が費やす時間を削減するために、CPQでは必要に応じて特注品対応も可能です。また、特注品の案件が次に来るかもしれないときに、その特注品用の部品表(BOM)を事前に作成しておくことも可能で、技術・製造部門の手間を削減できます。
CPQを使えば、最も複雑な製品であっても、数日や数週間ではなく、数分で見積を出すことができます。技術部門はすべての見積を承認しなくてもよくなり、生産部門は間違った構成を突き返す手間が省け、顧客は見積どおりのものを受け取ることができるのです。
“P” - 価格設定エンジン
利益率を守り、収益目標を達成したい企業にとって、CPQ価格設定エンジンは非常に貴重です。CPQでは、人件費と原材料費が設定されて各案件を管理ビューで見ることができますが、顧客には表示されないようになっています。価格設定の機能がガードレールとなって、営業担当者が設定されたマージン以下の取引を行うことを防ぎます。価格戦略やオプションは、場所、顧客ロイヤルティ、リスク要因などのさまざまな基準に基づいて定義することができます。
利益を可視化することで、意思決定者は案件に優先順位をつけ、利益にならない取引にリソースを浪費することを防ぐことができます。
“Q” - 提案書/見積書作成機能
一貫性のある魅力的な提案書を自動的に作成する機能は、営業担当者にとって画期的なものです。営業担当者に他の提案書の一部を切り貼りさせるような煩雑な見積書作成プロセスでは、多くの場合、何時間も推敲を必要とするような、プロフェッショナルとは言えない仕上がりになってしまいます。営業担当者はCPQの使いやすいドキュメントジェネレータを使って、一貫性のある魅力的な提案書を素早く作成することができます。
CPQを使えば、営業担当者は手作業で提案書を作成する必要がなくなり、その分営業活動に時間を費やすことができるのです。
CPQシステムは既存のシステムやデータと統合できますか?
適切なCPQソリューションの導入は、DX推進に大きく貢献することができます。舞台裏では、CPQ統合により、異なるエンタープライズシステム間でデータが流れるようになり、デジタルソリューションの効率性と有効性を損なう部門間の情報分断というべきサイロが取り除かれます。
CPQは、CRMやERPのデータ、価格設定や構成ルール、商品の在庫状況などと連携し、さまざまな販売チャネルが自ら見積を作成できるようにすることができます。
CPQシステムのインテグレーション機能は、DXの利点の中心となるところです。相互接続されたシステムのメリットをフルに発揮し、堅牢なCRM、ERP、PLM、その他の企業アプリケーションを最大限に活用するためには、データがシステム間を流れる必要があります。CPQはサイロ化を解消し、部門間で情報を共有するためのフレームワークを提供することで、エラーが発生しやすいコピー&ペーストのステップを排除します。
CRMのインテグレーションは、顧客情報を見積や注文にリンクさせ、購買傾向やアップセルの機会などの分析的洞察を提供することができます。
ERPのインテグレーションはパイプライン(見込案件)の可視性を提供し、生産部門は次にどのような発注が来るかを知ることができます。また、インテグレーションによりサプライチェーンやその他の問題により納期遅れのリスクがある部品を販売部門に示すことができます。
PLMやeコマースなどの他のアプリケーションもインテグレーションすることで、効率性の向上とチャネルの拡大を図ることが可能です。Cincom CPQインテグレーション・フレームワークは、多くのエンタープライズアプリケーション(例:Cincom CPQ、D365 CE、D365 F&O、Salesforce)に対してすぐに使えるコネクタを提供し、さらに他のアプリケーションのコネクタを簡単に拡張して含めることができます。その他にも、ファイル、電子メール、SQLなど、すぐに使えるコネクタがあります。
Cincom/SAPインテグレーションの成功
ある産業用空調機器メーカーは、CPQを導入し、現場から工場までの部門間のプロセス連携を実現し、注文入力担当者の作業量を50%削減することに成功しました。
同社のサービスアーキテクチャは、Cincom CPQからの出力をXML形式でSAP XIに取り込みます。このシームレスで拡張性のあるインテグレーションにより、IT部門は1日に1,000件の注文を処理できるようになりました。
CPQはわが社に必要でしょうか?
多くの企業は、当初は表計算システムやその他の自社開発アプリケーションを使い、製品の構成や見積書の作成に断片的なアプローチで取り組んでいます。しかし、事業や製品ラインが成長し、複雑化し、営業担当者が増えるにつれ、こうした場当たり的なシステムでは対応できなくなってきます。
CPQソリューションの効率化によって恩恵を受ける可能性のある企業では、次のような兆候や症状がしばしば現れます:
- 見積作成に日数がかかり、成約の確率が下がる
- 一貫性のない価格設定は社内の混乱と顧客の不満を招く
- 不正確なコンフィギュレーションが複数の変更指示と手戻りを引き起こす
- 製品と価格の情報が部門間で断絶して、情報のサイロ化が起こっている
貴社向けに構築されたCPQソリューションには、Excelベースのシステム等と比較して多くの利点があります。
製品構成
Excelや自社開発のシステム
不正確な設定でもできてしまう自由形式の注文書から、基本的な設定がシステムに含まれるものまで、様々なものがあります。カスタマイズした製品にはいずれも承認が必要です。
CPQソリューション
ルールベースのオプションとガイデッドセリング機能により誤った設定を排除できます。承認が必要なのは特注品のみです。
顧客による製品選択の推進力
Excelや自社開発のシステム
顧客はコンフィギュレーション情報を提供する営業頼みです。
CPQソリューション
顧客選択主導型のプロンプトは、ウェブ・インターフェースを通じて利用できます。
製品に関する専門知識の利用のしかた
Excelや自社開発のシステム
特定の人々との協議が必要。
CPQソリューション
さまざまな販売チャネルで利用可能な製品コンフィギュレーターに収録。
価格設定
Excelや自社開発のシステム
通常、価格設定はサイロ化されたシステムにあり、財務部門やその他の部門による手作業での更新や介入が必要です。マージンは保護されず、価格設定には複数の承認が必要で、営業担当者は常にどの割引を適用するかを認識できているわけではありません。
CPQソリューション
営業担当者を導くために、適用可能なバンドルや割引を設定することができます。承認を組み込むことができるため、特別な場合にのみ特別なサインオフが必要となります。
クロスセリングとアップセルのチャンスをつかめるか
Excelや自社開発のシステム
該当なし
CPQソリューション
CPQナレッジエンジンは、クロスセリングとアップセルの機会を特定するためのガイデッドセリング機能を提供します。
営業担当者が見積書を作成するためにアクセスしなければならないシステムの数
Excelや自社開発のシステム
見積書を作成するには複数のシステムが必要で、カット・アンド・ペーストや再フォーマットに何時間もかかります。
CPQソリューション
従来の計算機やアプリを1つのCPQハブに統合することで、営業担当者はすべての関連データと製品情報を1つのアプリケーションで利用できるようになります。
見積書作成に要する時間
Excelや自社開発のシステム
複雑さや承認者の都合により、数日から数週間かかることもあります。
CPQソリューション
数時間、多くの場合は数分です。
新製品と新機能の展開
Excelや自社開発のシステム
煩雑でIT部門からの技術リソースが必要。営業が必要に迫られて最新ではない製品情報を使用してしまうことも多いです。
CPQソリューション
CPQは、セールスを最新の製品と機能に同期させます。標準的なアップデートは、技術者でなくても行うことができます。
見積の修正が必要な場合
Excelや自社開発のシステム
無効なコンフィギュレーションを調整するために頻繁な修正が必要となり、顧客の不満と機会損失を招きます。
CPQソリューション
改訂が必要となるのはサプライチェーンの問題など、例外的な状況の場合のみです。製品は生産可能な構成に合わせて見積されます。
新規営業担当者の稼働
Excelや自社開発のシステム
複数のシステムや文書化されていない情報を学ぶのに時間がかかります。見積には厳しいチェックが必要。
CPQソリューション
CPQを利用することで、新しい営業担当者を迅速に配属することができ、生産性を高め、目標通りのノルマを達成することができます。
Cincom CPQで受注から製品出荷までのリードタイム60%削減を実現した金属プレス加工ツールメーカーの事例について
詳細はこちら
Cincomのソリューションにより、多くの"ノイズ"が取り除かれました。というのも、間違った部品表を修正するために対応する時間をプロセスに組み込む必要がなくなったからです
デニス・イーグル社 グループ・エンジニアリング・ディレクター キース・デイ氏
CPQの導入メリットが高いのはどの部門やどのような人たちですか?
CPQソリューションのメリットを最初に認識するのは営業チームであることが多いですが、CPQは営業チームだけでなく複数の部門で効果が見込めるソリューションです。
営業担当者は、必要な情報を集めるために複数のシステムを学習して使用する必要がありません。
新しい営業担当者は、複雑な見積プロセスを学ぶ必要がないためより早く稼働でき、販売に注力することができます。
エンジニアがレビューする必要があるのは特殊なケースだけで、すべての見積書をレビューする必要はありません。自動構成の場合、エンジニアはいつでも構成データにアクセスできます。
IT部門は、コストや価格が変更されたときに複数のシステムを更新する必要がありません。更新が自動で迅速に行われ、財務システム、ERP、CRMなどから直接引き出された最新の情報が営業部門に提供されます。
購買部門は、見積の種類や顧客の傾向を分析することで、先手を打つことができます。例えば、発注が難しい部品が含まれる可能性の高い見積を、必要であれば調達先を変更する十分な時間的余裕をもって見ることができます。
C-Suite、財務、生産部門などの主要な利害関係者 は、パイプラインの優れた可視性を持ち、情報に基づいたビジネス上の意思決定をサポートします。人員配置は繁忙期や閑散期に合わせて増減させることができ、機械の発注は案件の増加を見越して行うことができます。
顧客は見積と注文通りのものを受け取ることができます。
どの会社もすでに使用しているソフトウェアがあります。そこに別のソフトウェアを組み込むのは難しいことです。しかし、Cincomの技術があれば、問題にはなりませんでした。当社では、ERPシステム、レポートシステム、財務システムにデータを供給できるよ うになりました。それらはシームレスに統合されており、Cincomはそれらのタッチポイントを 正しく把 握してくれます
E-ONE社 コンフィギュレーション・マネジャー ジョナサン・ブラント氏
CPQはどのようなリスクを軽減し、DXの成功に役立ちますか?
適切なCPQソリューションは、非効率なシステムの使用から生じるビジネス上の問題を解決する上で、大きなインパクトを与えることができます。
リスク | CPQソリューション |
---|---|
低マージンが利益を圧迫 | CPQに組み込まれた価格設定がガードレールとなってマージンを守ります。 |
最新の製品情報や価格情報が顧客に提示されていない | CPQ統合はサイロ化を解消し、現在の価格と正しい製品構成で販売を同期化します。 |
拡張性が妨げられる | CPQは、ディーラーなど複数の販売チャネルで利用できるガイデッドセリングのインフラを提供します。 CPQシステムはITの負担も軽減する |
既存顧客への販売機会を逃す | CPQは、営業担当者が気づいていないアップセリングやクロスセリングの機会を提案することができます。 |
生産期限を守れない | CPQはパイプラインの可視性を高め、サプライチェーン上の潜在的な問題に早期に対処することができます。 |
経験豊富な従業員が退職すると、製品に関する属人的な知識が失われる | CPQは属人的な知識を取り込み、アクセス可能にします。 |
より迅速な競合他社に機会を奪われる | 多くのCPQユーザーが見積時間を50%以上短縮し、見積が遅いために失われていた案件を成約に導く可能性を高めています。 |
Cincom CPQが本当に気に入っている点の1つは、販売時点で必要な情報をデジタル化してくれることです。そのおかげで、パイプライン全体のプロセスの自動化をより進めることができるようになりました
コンステレーション・ホーム社 ビジネス・プロセス・ディレクター キース・ブライアリー・バウワース氏
最適なCPQシステムとは?
利用可能なCPQシステムには、基本的な製品の見積を合理化することに重点を置いたものから、堅牢な文書ジェネレーター、複雑な製品コンフィギュレーター、複数の企業アプリケーションとの統合をサポートするインフラを備えたものまで、様々なものがあります。
以下のチェックリストを使用して、貴社に必要なCPQシステムのタイプを確認してみてください:
CPQシステムの機能 | 必要性 |
---|---|
何千もの製品構成パターンを扱うことができる複雑な製品コンフィギュレーター | |
CRMとインテグレートされた堅牢な見積作成ツール | |
ERP、PLM、SAPなどのエンタープライズアプリケーションとのインテグレーション | |
マルチチャンネル・セールス・サポート | |
ウェブ販売UIのバック・ロジック | |
ガイデッドセリング機能 | |
価格ガードレール | |
製品の可視化 | |
Eコマース機能 | |
AIが商品と価格を提案 |
Cincomは、私たちの条件を満たす数少ない製品の一つであり、私たちが見た中で最も柔軟で直感的な製品でした。グラフィカルなプログラミング手法のおかげで、スタッフはプログラミングの知識がなくても製品を扱うことができた点が大きかったですね。
デイトンラミナ社財務担当副社長Randy Wissinger氏
非常に複雑な製品構成を持つメーカーに最適なCincom CPQは、様々な業界の企業で使用されています。
工業生産
電子機器製造
HVAC
特殊車両
医療機器・装置製造
複合サービス
ヘルマー・サイエンティフィック社は、属人的な知識を体系的にデジタル化し、見積サイクルから手作業を排除しました。また、フロントエンドのMicrosoft Dynamics CRMからバックエンドのFourth Shift ERPまで、システムを連携しました。