導入事例:島津製作所オーストラリア、CPQとDynamics365を連携、見積から注文までの自動化を実現

背景4

島津製作所オーストラリア支社での導入事例です。メディカル部門とサイエンティフィック部門にてCPQMicrosoft Dynamics365を連携し、見積から注文までの自動化を実現して営業プロセスを改善。製品や価格設定のミスをなくして一貫性のある、完全で正確な見積書と提案書の作成が可能になり、見積ミスによる年間損失50万ドルを削減することに成功しました。

導入の背景とビジネス上の課題

島津製作所は、科学分析機器、医療用X線画像診断装置、航空機用機器を製造する世界最大級の科学機器メーカーです。島津製作所はオーストラリアとニュージーランドに100名以上のスタッフを擁し、包括的な販売、サービス、サポートに取り組んでいます。

島津製作所オーストラリア支社は、メディカル部門(SHIMADZU MEDICAL)とサイエンティフィック部門(SHIMADZU SCIENTIFIC)の2つの部門に分かれており、それぞれビジネス要件が大きく異なります。 基本的にオーストラリアの事業は、日本本社の販売流通センターです。

当初、島津製作所オーストラリア支社ではいくつものビジネス上の課題を抱えていました。まず製品構成が多く非常に複雑な製品であること、それに加えて営業チームはそれぞれ異なる価格表を使用していました。また営業プロセスも、見積からシステム発注まで手作業によるプロセスが多く手間がかかっている状態でした。会社の成長に伴い作業はより増えていった結果、スタッフの増員が必要になりました。そして社内にはMicrosoft Dynamics 365 Salesがすでに導入されていたものの、十分にその機能を活用できていなかったため、業務が非効率な状態になっていました。このような状況の中、製品や構成の間違いなどで見積作成のミスも多発し、金額にして年間50万ドルほどの損害が発生しており、システム面での改善が必要でした。

目標

実現したい目標として掲げていたのは、見積から注文までの営業プロセスを自動化することでした。それから正確な見積書・提案書を作成するために、製品構成や価格等のミスをなくすこと、すべての案件の情報が見積とともに確実にCRMで見られるようにすること、見積フォーマットを統一することを目標とし、これらを実現することにより、顧客体験の向上を目指しました。

新しいシステムの導入には、島津製作所のビジネスと製品の複雑性に対応できる堅牢なソリューションが求められていました。またMicrosoft Dynamics 365への投資を最大限に活用したいという意向もあり、Cincom CPQMicrosoft Dynamic CRM を組み合わせることで、当社の目標を達成することが検討されCincomが選択されました。

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プロジェクトの概要

このプロジェクトの出発点は、サイエンティフィック・カンパニーが旧バージョンのMS CRMを使用しており、基本的に顧客との連絡詳細にのみ使用されていたのに対し、メディカル・カンパニーには顧客や販売関連のシステムがなかったことにあります。両社とも、組み立てと配送にはSAPを使用しており、基本的な製品データは日本が管理し、リモートで更新しています。

当初は、MS CRMを現地に導入し、複雑な製品の見積書を正確かつタイムリーに作成することが目的でした。しかし、システムのプロビジョニングの遅れやマイクロソフトのD365 Salesへの移行により、日本ではMS AzureをベースにしたD365 Salesのオンライン導入に変更されました。その後、日本のハブとの接続にパフォーマンス上の問題(レイテンシー)が発生したため、D365 Salesのオンプレミス・ソリューションがより適していると判断されました。

SAPでの注文作成はプロジェクトに含まれておらず、D365 Salesで対応しました。SAPは、すべての製品および価格関連データのマスターシステムです。このシステムは、日本からの定期的なエンジニアリングと価格の更新によって維持されているため、抽出/更新プロセスが開発され(D365のパートナーであるMicrochannelと協力)、すべての同期が保たれています。

島津製作所オーストラリア支社は、自社でモデリングを行いたいと考えていましたが、販売・流通業であるため、必要なスキルを持った人材がいませんでした。そのため、モデル開発には時間がかかっていました。島津製作所オーストラリア支社には製品の「専門家」がおらず、モデリング能力も限られていたため、Cincom ANZ(シンコムのオーストラリア支社)は当初の想定を上回るレベルの支援を提供する必要がありました。モデリング・サポートに加え、島津製作所独自のビジネス・プロセスに対応するため、標準のD365セールスでは利用できない拡張機能(特別価格や割引)を提供しました。

プロジェクトの実施

SHIMADZU MEDICALは、モデリング、価格設定、アウトプットがサイエンティフィック部門よりもわかりやすいため、この部分はプロジェクトの第1フェーズとして実装されました。先にSHIMADZU MEDICAL向けのCPQ to D365 Salesシステムは、見積書とドキュメントを生成するためのプロダクションで利用できるようになりました。その後、第2フェーズとしてSHIMADZU SCIENTIFICでも実装されました。

このプロジェクトはさまざまな理由から困難なものであり、顧客は導入のすべての局面で一貫したサポートを必要としていました。プロジェクトに関わったCincomのチームが大きく貢献しました。

導入事例:ヘルマー社

主な成果

Cincom CPQ導入後、製品構成および価格設定ミスがなくなり、一貫性のある完全で正確な見積書と提案書の作成が可能になり、これまで見積ミスにより生じていた年間50万ドルの損失を削減することができました。またCRM全体をオーバーホールするのではなく、Microsoft Dynamics 365への投資を最大限に活用できたことは導入成果として大変評価いただきました。

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事例まとめ

顧客企業情報:

  • 京都に本社を置き、1875年に創業
  • 主な機器:分析・測定機器、X線、産業機器
  • 競争の激しい業界
  • 病院、診療所、クリニック、研究施設、大学などを顧客とするB to B市場

ビジネス上の課題:

  • 多くのコンフィギュレーションを持つ非常に複雑な製品
  • 見積書のミスで島津製作所は年間50万ドル近い損害を被っていた
  • 異なる価格表を使用する営業チーム
  • 見積からシステム発注まで、手作業によるプロセスが多く、会社の成長に伴いスタッフの増員が必要になった
  • 現在のシステム(Dynamics 365 Sales)がフルに活用されていない

目標:

  • 見積から注文までの自動化
  • 商品と価格の誤りをなくす
  • すべての案件が見積書とともに CRM にあることを確認する
  • 見積書フォーマットの標準化
  • 顧客体験の向上

主な導入効果:

  • 当社のビジネスと製品の複雑性に対応できる堅牢なソリューション
  • CRM全体をオーバーホールするのではなく、Microsoft Dynamics 365への投資を最大限に活用できたこと
  • 製品および価格設定ミスの削減
  • 一貫性のある、完全で正確な見積書と提案書の作成が可能に

 


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