「見積から注文まで」無駄のない販売プロセスで高いROIを達成 ~分析装置メーカー、PANalytical社の戦略的挑戦~
CPQの導入事例です。分析装置メーカーのPANalytical社は、Cincom CPQの導入で見積~受注までの販売プロセスの改善に成功し、大幅な投資収益率(ROI)の上昇などの成果を達成しました。
PANalytical社について
1948年にフィリップス社によって設立されたPANalytical社は、X線回折装置(XRD)および蛍光X線分析(XRF)用の分析装置とソフトウェアを提供する世界有数のサプライヤーであり、60カ国以上に展開しています。同社の装置は、製薬、セメント、鉄鋼、鉱業などの市場を中心に、科学研究開発、半導体計測、工業プロセス制御アプリケーションに使用されています。すべての生産は、独自のX線管の製造を含むオランダの2つの施設内で行われ、PANalytical社独自のものとなっています。同社は、精密計測・制御機器の開発販売を行うグローバル企業のSpectrisグループの一員です。各X線システムには多数のオプションがあり、非常に複雑で、顧客の個別要件に合わせて構成して販売されています。
戦略的挑戦
サプライチェーンは顧客に始まり顧客に終わると言ってもよい程、卓越したカスタマー・エクスペリエンスにとって極めて重要です。ですが同社は、見積書の手直しに多くの時間をかけすぎており、営業とエンジニアリングの間で深刻なボトルネックが増えていました。製品指定通りに製造できない事態が度々発生しており、さらに手直し、遅延、製造コストの上昇につながっていました。営業チームは、簡単な製品構成アプリケーションにはアクセスできましたが、専門的な製品構成が必要な見積を作成するためには、追加のリソースと時間が必要でした。それから価格設定も正式に定められていなかったため、ビジネス上のリスクが避けられませんでした。
やがて、「無駄のない」受注処理環境を構築することで、「無駄のない配送」が社のスローガンとなりました。ミッションは、顧客の期待を超える費用対効果の高い方法で透過的な物流サービスを提供することでした。
- ミスをゼロに - ミスをなくすこと
- 重複のない1回限りの入力
- チェック作業などの付加価値のない業務プロセス最小限に抑えること
- 最小限の引き渡し時期
- 最小限の待機期間(ジャスト・イン・タイム)
- 顧客が必要とするときに納品すること
- 継続的で正確な注文情報と可視性を顧客に提供する。
PANalytical社の業務改善マネージャーであるアンドレ・バログ・デ・ギャランサ氏は次のようにコメントしています。「私たちの目標は、技術的なエラーに対してゼロトレランス*方式を持って、チェック・プロセスとやり直し作業を削減してコストを削減することです。」
*ゼロトレランス:わずかな不具合も見逃さずに、不良品を徹底的に排除すること。品質管理における理念の一。
見積~受注までの販売プロセスの改善
PANalytical社には、「時代遅れな」コンフィギュレーションのアプリケーションを持っていたため、見積から注文までのプロセスに穴が空いたまま、機能不全となり、とうとう「末期的な状況」に陥りました。営業、購買、ロジスティクス、生産のすべてがデータを何度も入力し、エラーと非効率を招いていました。価格も含め製品アイテムと部品番号は常に最新のものではなく、システムツリーの変更は個々のセールスエンジニアに展開するのに時間がかかっていました。顧客が一度提示した見積を了承すると、それに基づく契約を尊重する必要があるため、これは大きな課題でした。
見積書が不正確な場合、PANalytical社は注文に対してビジネス上の「打撃」を余儀なくされていました。見積書を自動的に作成する機能がなかったため、その結果、部品表関連のエラーや最初の見積提出が遅く時間がかかる問題が生じていました。問い合わせは、現場に戻って参照されて、プロダクトマネージャーによって修正されなければならず、さらなるプレッシャーと遅延を引き起こしました。
見積書の作成には、複数の異なるアプリケーション間で「カット・アンド・ペースト」して作業していたため、見積書1件につき平均4時間が情報の照合だけに費やされていました。各注文はERPシステムに再入力し、プロダクトマネージャーとロジスティクスチームが何度もチェックする必要があり、各注文の管理チェックに平均3時間かかっていたのです。
この状況はかなり非効率であることは明らかで、許容できないレベルのミスを物語っていました。同じ人数でより多くのことを行うという目標は、投資対効果のビジネスケースの一部でした。見積書作成にかかるセールスエンジニアの時間を20%改善することは、労働時間を週に1日短縮することに相当するのです。対処すべき「ギャップ」はますます明確になっていきました。
投資収益率(ROI)の大幅な上昇
ROIの主な領域は以下の3つです。
- 販売での効率化 - 見積作成効率の改善と見積書の手直しの削減で、年間16万ユーロ以上を節約しました。
- バックオフィス業務の効率化 - 製品管理サポート、注文チェック、再入力および処理の削減により、年間18万ユーロ以上を節約しました。
- サプライチェーンの効率化 - 注文の正確性の向上、注文の変更、手直し、チェックの削減により、年間5万ユーロの節約につながりました。
ソリューション
Cincom社はオランダの競合2社と熾烈なコンペに直面しました。PANalytical社はCincom社のチーム全員の対応の良さと、Cincom社の組織としての成熟度、そして高価値で低リスクのソリューションを提供するアプリケーションの成熟度に特に強く感銘を受け、Cincom社に導入を決定しました。
Cincom社は、多言語、多通貨対応、グローバル対応が可能であり、Cincomのソリューションは世界中で展開されています。Cincom CPQは、見積作成、製品設定、ルールベースの価格設定、技術検証、管理レポートと分析を提供することで、セールスエンジニアをサポートします。また、販売担当者のためのモバイル端末の接続操作および切断操作のどちらも出来る事も、ソリューション選定基準の一部でした。
Cincomについて
1968年以来、Cincom社のソフトウェアとサービスは、世界中の何千ものクライアントの複雑なビジネスプロセスの管理を簡素化するのに役立ってきました。BMW、ボーイング、ペンシルベニア州立大学、シーメンス社、トラン社など、世界6大陸で数千社のお客様にサービスを提供しています。
事例まとめ
目標:
「無駄のない」サプライチェーンを構築することによる優れた顧客サービス体験の提供
課題:
見積から注文までの販売プロセスにおいて、営業と「バックオフィス」の効率と精度を向上させることによる販売改善
導入したCincom CPQのソリューション:
- ガイデッドセリングおよび製品コンフィギュレーター
- 見積書と提案書の管理
主な導入成果:
サプライチェーンのコストを年間30万ユーロ以上節約
顧客のコメント:
「ソリューションが要件に非常にフィットしていたことに加え、Cincom社の「ノーナンセンス」**コンサルティングアプローチが効率的で実用的であることが気に入りました。何でもかんでも安請け合いして"イエス"と言うのではなく、こちらの深刻で本当に深い課題に対しても、非常に丁寧に対応してくれました」
**ノーナンセンス:無意味な事を許さない方法論
アンドレ・バログ・デ・ギャランサ PANalytical社 業務改善マネージャー
- カテゴリ:
- CPQ