CPQプロジェクトを成功させるために避けるべき5つのこと

Configure Price Quote(略してCPQ)ソリューションは、少なくとも10年以上前から提供されていますが、多くの企業にとってまだ新しいものです。

“新しいCPQソリューションに興味を持つ人は、どんなCPQソリューションであれ、現在のCPQ関連のシステムやプロセス(営業プロセスや新製品やサービスの導入プロセスなど)を見直し、調整する際に、オープンで正直かつ批判的になる必要があります。”

コロナ禍では、CPQソリューションが遠隔販売やセルフサービス販売など、パンデミックに関連する多くのビジネス課題に役立つことから、さらに多くの潜在顧客の関心を集めました。
ここで強調したいのは、あくまでもCPQソリューションは、多くのビジネス課題に「役立つ」のですが、残念ながらすべてのCPQプロジェクトが成功するわけではないということです。
したがって、CPQプロジェクトを成功させるためには、早い段階で一般的によく陥りがちな間違いについて注意しておくことが重要です。
それは、多くのお客様が古いシステムやプロセスを新しい環境で再構築しようとすることです。
この課題は少なくとも25年前から存在しており、未だに多くのお客様が最新のCPQプロセスやシステムをフルに活用することを妨げています。

新しいCPQソリューションに興味を持つ人は、どんなCPQソリューションであれ、現在のCPQ関連のシステムやプロセス(営業プロセスや新製品やサービスの導入プロセスなど)を見直し、調整する際に、オープンで正直かつ批判的になる必要があります。

これは、人々は従来通りの特定のシステムやプロセスで仕事をすることに慣れており、新しいソリューションに賛同してもらうためには、チェンジマネジメントという形で大変な労力が必要になるからです。この労力を過小評価しない事が肝要です。簡単なことのように思えるかもしれませんが、決して簡単なことではありません。

このシステムやプロセスを新たに変更する労力を一切望まないお客様にとっては、最新のCPQソリューションで得られる多くの新しい機会を活用することができないと思われるため、新しいソリューションの導入には向かないかもしれません。

さらに、プロセスの見直しや変更無しでのシステム導入では、ほとんどあるいはまったく進歩がないために、多くのお金を浪費する可能性すらあります。
しかし、新しいプロセスやソリューションの活用に前向きな人は、次の5つの間違いを犯さない限り、多くのものを得ることができます。

避けるべき5つの間違い:
1. CPQソリューションを選択するためにベンダー色のない専門家に相談をしない
2. CPQソフトウェアの購入意思決定を誤ることがある
3. CPQベンダーと契約する前に下調べをしない
4. 適切なシステムインテグレーターを探すためのプロセスを踏まないこと
5. チェンジマネジメントを過小評価すること

×間違い1:CPQソリューションを選択するためにベンダー色のない専門家に相談をしない

CPQソリューションには、さまざまな業界やユースケースに対応したものが数多くあります。
実際、100種類以上のCPQソリューションがあり、社内に専門家がいないお客様にとっては、独立した専門家と一緒に、自社のビジネスに最適なソリューションを最短時間で見つけることができるのは大きなメリットとなります。

注:多くの「CPQエキスパート」は、1社か2社のCPQベンダーとしか仕事をしておらず、したがって、金銭的なメリットがあるため、常にそのソリューションを推奨します。マズローの "If all you have is a hammer, everything looks like a nail "(ハンマーしか持っていなければすべてが釘のように見える)という言葉を思い浮かべてみてください。

これは、CPQベンダーとシステムインテグレーターにとっては、少なくとも短期的には良いことですが、お客様にとっては必ずしもそうではありません。
CPQソリューションについて知りたいのであれば、多くのCPQソリューションを知っていて、ある特定のソリューションを他のソリューションより勧めることでお金をもらっていない人に話を聞くことです。この労力は、"CPQ導入予算 "の中でもかなり少額で済むはずです。

×間違い2:CPQソフトウェアの購入意思決定を誤ることがある

多くの場合、購買の意思決定は下記の要素に大きく影響されます。

顧客は、特定の、しばしば過度に前のめりな、稼働開始日を念頭に置いている。  
すると最も早い稼働開始日を約束したCPQベンダーやシステムインテグレーターが受注することになります。このアプローチには、複数の潜在的な問題があります。例えば、その最短で導入できるソリューションは、もしかしたら収益の違いをもたらすほどの機能を備えていないかもしれません。したがって、CPQは、継続的な開発と改善を必要とする長期的な取り組みであると考えるべきです。したがって、稼動開始日は非常に重要ですが、購入の決定にはそれほど影響しないはずです。

また顧客は、CPQソリューションに特定の予算を想定しており、その予算に合わないCPQソリューションについて知りたがりません。すると最低価格を約束したCPQベンダーやシステムインテグレーターが受注することになります。 

しかし、最も安いソリューションがベストであるとは限らないし、正しいソリューションであるとも限りません。考慮していただきたいのは、ほかのベンダーも顧客それぞれに最適な価格を交渉することは可能であり、一般的であるということです。したがって、少なくとも予算を50%以上超過しない限り、購入プロセスの最初の段階で予算に合わないCPQソリューションを排除してはなりません。


チームメンバーは、あらゆる階層で、これまでの経験に基づいて特定のCPQソリューションを選好している
例えば、中堅社員は、Salesforceのスキルセットが自分のキャリアに有益であることを期待して、Salesforceで仕事をしたいとよく言いますし、上級のリーダーは、以前の会社で特定のCPQソリューションで成功を収め、新しい会社でその成功を繰り返したいと思っているようです。CPQソリューションに関する過去の経験だけを頼りにするのではなく、現在の会社のビジネス分析を行い、どのCPQソリューションが最も適しているかを判断することが理にかなっています。


 ×間違い3: CPQベンダーと契約する前に下調べをしない
もし購買の意思決定の最初のミス(特定の、しばしば過度に前のめりな、稼働開始日を念頭に置く)があった場合、これは典型的な結果です。
経験上、新規CPQ導入の90%以上がこのミスにより、顧客は多くの時間とコストを費やしていることが分かっています。
よくありがちなのは、プロジェクト計画を策定するフェーズで、1人の外部CPQ専門家と小規模な社内グループで準備するのではなく、CPQベンダーやシステムインテグレーターなどを交えたより大きなグループでCPQプロジェクトを開始してしまうことです。これは、プロジェクトの開始時期を遅らせ、より多くの外部リソースが関与するため、一般的にプロジェクトがより高価になることを意味します。

下記の場合、お客様が下調べをしていないことは明らかです。

• 製品マスターデータは、コンフィグレータとして使用可能かどうかの見直しが行われていない。製品構造は、すべてのCPQプロジェクトの基礎であり、製品モデリングルールであるため、これは重要です。商品構造が適切でない場合、この問題を解決するために、プロジェクトが開始された後に、より多くの時間とリソースが必要となります。

• CPQ関連のビジネスプロセスが文書化されていない、または非常に高いレベルでしか文書化されていない。例えば、販売プロセス、チャネルセールスプロセス、新製品導入などのドキュメントのことです。より良いプロセスを開発するために、新しいCPQソリューションを考慮しなければならないのは明らかですが、望ましい目標(すなわちKPI)が定義されていることが重要なのです。

• 製品構成ルールが文書化されていない。それは、人々の頭の中やExcelの計算式などに隠されている。過去にCPQソリューションを使用したことがある企業でも、その製品構成ルールは、CPQソリューションの外部に文書化されていないことが多いです。逆に、新しいCPQソリューションを選択し、導入する前に、製品構成ルールが文書化されていれば、導入はより迅速に進めることができます。

×間違い4:適切なシステムインテグレーターを探すためのプロセスを踏まないこと

多くのお客様は、CPQベンダーを探すのにかなりの時間を費やす一方で、一緒に仕事ができるシステムインテグレーターを探すのにほとんど時間を費やしません。

多くのお客様は、一緒に仕事をしているCPQベンダーからの推薦にほとんど頼っています。これは、CPQベンダーよりもシステムインテグレーターと過ごす時間の方が長いかもしれないので、間違いです。
ここでは、システムインテグレーターを選ぶ際のポイントとして、いくつかの質問を紹介します。

  • CPQベンダーとシステムインテグレーターは、どれくらいの期間一緒に仕事をしてきたのでしょうか?もし、定期的に一緒に仕事をしているのであれば、彼らは通常、時間とコストを大幅に削減できるリハーサル済みのチームであると言えます。
  • システムインテグレーターは、あなたの業界でどれだけの経験を積んでいますか?
    ヒント:相談できるリファレンス顧客に聞いてみましょう。
  •  システムインテグレーターは、御社のCPQソリューションやその他のITアーキテクチャとの統合経験をどの程度持っていますか?例えば、CRM、ERP、PLM、CADなどのソリューションと統合するプロジェクトはどれくらいの頻度で経験していますか?
  •  CPQプロジェクトには、どのようなリソース(ジュニア、シニアなど)が割り当てられるのでしょうか?

システムインテグレーターが、顧客のビジネス要件に対してあまりにも頻繁に「イエス」と言う場合は要注意です。経験豊富なシステムインテグレーターは、通常、「イエス」よりも「ノー」と言うことが多いのです!

イエス」と言い過ぎることの副作用として、カスタムコードが開発されることがよくあります。また、上記のように新しいCPQソリューションで現在のプロセスやシステムを再構築しようとする場合もあります。

CPQプロジェクトの規模や複雑さにもよりますが、適切なシステムインテグレーターの選定に1~3週間以上かける必要はありません。


×間違い5:チェンジマネジメントを過小評価すること

これは、CPQプロジェクトによくある大きな間違いです。成功するCPQプロジェクトは、最初からサポートが必要であり、トップマネジメントからユーザーに至るまでをサポートする必要があるのです。
さらに、チェンジマネジメントは最初の導入にとどまらず、継続的な取り組みが必要です。ここでは、チェンジマネジメントの課題例をいくつかご紹介します。

  • シニアチェンジリーダーが関与しない
  •  期待値が高すぎる(例:過剰に前のめりな稼動日が設定されている、あまりに多くの機能を早期に期待しすぎている)
  •  ユーザー導入が適切に準備されていない(例:ユーザーのトレーニング要件が過小評価されている、サポートが過小評価されている、ソリューションが期待に沿わない場合、ユーザーが回避策を見つけるなど)

社内内のシニアリーダーがこの取り組みを積極的にリードすれば、ほとんどの課題は未然に防げるか、あるいは迅速に対処することができます。

CPQプロジェクト開始時にこれらの課題を認識している顧客は、これらの教訓を苦労して学ぶ顧客よりもはるかに高い確率で成功することができます。

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