CPQで複雑な価格管理を簡素化する4つの方法

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はじめに

複雑な価格構成や頻繁な価格改定のために見積作成が難しくなっている問題は、多くの企業にとって増加傾向にあります。関連子会社や販売代理店など多様なチャネルを経由して取引を行うために複数の価格設定を持つことももちろんですが、特に製造業などでは原材料の高騰や為替による円安の影響など様々な要因から部品の原価の変更なども頻発するようになってきました。そのような変化に伴って、複雑な価格構成の見積を効率化する「CPQ」というツールに関心が集まっています。

CPQとは、Configure-Price-Quoteの頭文字を取った略称ですが、膨大なバリエーションのある複雑な製品の製品構成・価格設定・見積作成を100%正確に素早く実行できるツールです。

本ブログでは、CPQの価格設定の面に焦点を当てて、CPQがどのように製造業の複雑な価格管理に役立つのかについて詳しく解説します。

製品の価格に影響を及ぼす要因

企業が製品を市場に投入する際、多くの要因に基づいて製品の価格を決定します。これには以下のようなものがあります。

  • サプライチェーンの効率化

供給と部品の入手しやすさとコストは、製品のコストに直接影響します。サプライチェーン内の混乱は、その部品や供給品に依存するサプライチェーン内の下流要素に不安定さ、不確実性、知覚リスクをもたらします。

  • 技術の進歩

製品の製造や配送に使用される技術、あるいは製品自体の機能技術の進歩は、すべて製品のコストと価値に影響を与えます。製造技術や生産技術の進歩や改善により、製品自体のコストが低下する可能性があります。逆に、技術が製品そのものの機能性を向上させ、それが納品される製品の知覚価値にプラスの効果をもたらすこともあります。

  • 地政学的要因

海外の供給源、市場、流通チャネルの場合、そのエリアで発生した政治的な出来事やそれに起因する経済的制約などが供給源や製品の販売に影響を与える可能性があります。

  • 規制のダイナミクス

規制機関は、国内だけでなく他の管轄区域で運営されているものも含め、供給、工程、生産される製品に影響を及ぼす規制を遵守する際に発生するコストやリスクを通じて、あらゆる製品の価格に影響を及ぼす可能性があります。

  • インフレ/デフレ

地域的な規模でも、より大きな経済単位でも、インフレの力が働くと、最終的にはすべての製品に何らかの定期的な調整が必要になります。こうした力が非常にダイナミックに働くようになると、特に負担が大きくなります。

  • 需要の変動性

需要主導型市場、特にスタイルやトレンドに基づく要因で動く市場は、需要の急激な変化に対してかなり敏感であり、そのため製品に課される価格に関して何らかの反応が必要となります。

  • コスト変動性

前述の要因のほとんどどれでも、そして多くの場合、これらの要因の多くがさまざまに組み合わさって作用し、製品価格を支えるコスト構造を不安定にします。

今まで述べてきた要因の力はすべて絶えず働いており、常にコストや価格を押し上げたり引き下げたりしています。市場競争力を維持するためには、コストや価格を押し上げている新たな現実が何であれ、それを反映させるために迅速かつ積極的に反応し、価格を調整する能力が必要です。

価格管理を支援するCPQ

以前の時代には、こうした市場で動くさまざま要因同士の結びつきが弱く、相互依存の度合いも低かったために、価格設定は現在よりもはるかにシンプルで管理の頻度もずっと低いものでした。

例えば、プロダクトマネジャーと営業マネジャーは、1年間の価格を固定にしていて、価格表は印刷して営業組織全体または顧客に配布し、予算はその価格での売上予測に基づいて設計する、という具合です。

何らかの強力な外的要因によって価格の調整が必要になった問題は、現場へのメモや月ごとに作成される価格補足によって処理することができました。

 

しかし今日では、価格に影響を及ぼすような破壊的な強い外的要素が絡むことはより一般的になっており、月末や年末まで待って対処するには動きが速すぎます。さらに、大企業は複数の地域を相手にすることが多く、各市場が独自の破壊的要素に直面しているため、価格圧力は各市場内で大きく変動します。

価格設定は動く目標であるだけでなく、複数の動く目標であり、それぞれが個別の検討と維持を必要とします。

テクノロジーは、ボラティリティ(価格変動)やディスラプション(価格破壊)に関連する価格設定の課題に取り組む上で、多くの支援策を提供してくれます。それでも経営者は、販売地域、顧客クラス、マーケティング・バンドル、大量購入のすべてにわたって、製品の価格をどうするかというビジネス上の決断を下さなければなりません。

しかし、その価格を維持し、公表し、実施し、あるいは現場で価格設定方針が守られていることを確認する仕組みは、多くの場合自動化できるです。

プライシング機能の効果的なディスカウント管理がなければ、プライシングが「その日の取引」や「取引を成立させるためにできることをする」その場しのぎのプロセスになってしまう危険性がかなりあります。CPQは、営業および営業マネジャーが値引きプロセスをコントロールできるよう支援します。

CPQの技術もまた、企業向けの強力なツールを提供し、フィールドセールスやセルフサービスの顧客が、複雑さやコンフィギュレーションに関係なく、ほとんどすべてのアイテムの適正価格を簡単に見つけられるように設計されています。

CPQが価格管理を簡素化する4つの方法

  1. 複数の価格リストの管理 ― CPQは、顧客クラス(ナショナルアカウント、GSA、その他のセグメント)または地理的位置を反映した複数の価格リストを管理することができます。国際的な顧客は、自国の通貨建て価格リストに基づいて見積を取得します。これにより、個々の市場セグメントの価格設定をコントロールすることができます。

  2. 複雑な割引構造をサポート ― 特別な顧客クラス、ボリューム価格、ステップアップ価格、ステップスルー価格、さらにマーケティングや販売キャンペーンに関連したプロモーション割引。割引管理は、適切な管理レベルで維持され、販売時点で実施されます。

  3. 価格設定の一元管理 ― CPQは単一のアクセスポイントから、グローバルまたは個別に価格の増減を行うことができます。変更は、販売組織全体および関連するバックオフィスシステムに自動的に反映されます。もう、相互接続されたミスの起こりやすいスプレッドシートや、複数のシステムに価格リストを調整する手間のかかる価格入力は必要ありません。

  4. 割引管理 ― 特別割引が正当化される場合もあります。しかし、それはビジネス上の意思決定であり、複数の情報源から情報を得る必要があります。定義されたビジネス目標を達成するための方法として値引きが正当化されるような特別な状況が発生した場合、オーバーライド権限を提供することで、システムが承認されたときに特別な一回限りの価格を受け入れることができます。

まとめ

CPQはプライシングプロセスを一貫したものにし、ビジネス目標に沿ったものにします。複雑な組織における複雑な価格管理を簡素化します。

価格変動はCPQがコントロールの維持に貢献

CPQは、複雑な価格設定の負担を軽減し、重要なメンテナンスプロセスを自動化するために設計された一連のツールにより、市場において破壊的な力によって価格設定が不安定になった場合でも、コントロールを維持できるよう支援します。

 

いかがでしたか。CPQについてさらに知りたい方は、ぜひシンコムまでお問い合わせください

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