インタビュー「女性の働き方とワーク・ライフ・バランス」

インタビュー「女性の働き方とワーク・ライフ・バランス」

Debra Schoeningさんに聞く

Debra Schoeningさん
Sr. Financial Business Consultant
Manufacturing Business Solutions

Debra Schoening(以下、デボラ)さんは、米国シンシナティにあるシンコム・システムズの本社に、20年以上にわたり勤務してきた、シニア・フィナンシャル・ビジネスコンサルタント。今回、各国の支社へ新システム導入のためのトレーナーとして来日したのを機に、デボラさん自身のこれまでの働き方や、ワーク・ライフ・バランスについてのお考えなどをお聞きしました。

石村:デボラさん、今日はありがとうございます。はじめに今回の来日の目的をお話ください。
Debra
デボラ:はい。今回は、社内の会計管理システムのバージョンアップを行うにあたって、その使用のための社員トレーニングのために来ました。日本の後には、オーストラリアへ向かいます。

石村:こうして各国をまわることもありつつ、デボラさんは普段、アメリカ本社でどのような役割を担っているのでしょうか。

デボラ:CODAという会計システムをお客様へ導入する際の、ファンクショナル・コンサルテタントとして、コンサルティングとユーザへのトレーニングなどを行っています。私自身はコンピュータの技術者というわけではありません。シンコムに入ってからはもう20年になります。

CHS保健指導管理カタログ
Cincom ECMカタログ

石村:20年前に、どんな経緯でシンコムに入られたのですか?

デボラ:シンコムに入社する前は、企業の経理部門で予算策定や管理をするコントローラーの仕事をしていました。つまり、システムを利用する側でした。20年間この仕事をして、ちょうど下の息子が大学に進学する年、まさに子育てもひと段落というその年に、何か新しいことにチャレンジしたいと思いました。私は仕事をする上で、常に「チャレンジング」なものを求めていて、それがないと退屈してしまうんです。そんな時、実は新聞の求人欄で、たまたま、会計システムのファンクショナル・コンサルタントというシンコムの募集を発見して。トントン拍子に面接が進み、採用となりました。

石村:今、息子さんのお話が出ましたが、ご家族のことをもう少しお伺いしてもよろしいでしょうか? ご家族はデボラさんが仕事を続けていることに対して、どのように思っていらっしゃるのですか?
Debra
デボラ:家族は主人と二人の息子です。みんな私が働くことに関して、理解し全面的に支援してくれています。シンコムに入ってからは、お客様の元に出かける必要があり、一年の半分くらい出張という時期もありました。とはいえ10年ほど前からは、テレビ会議やリモートワークなども発展し、実際に出向く機会は減りましたけれど。

石村:10年前からですか。日本では最近ようやく「働き方改革」を国が推進するようになって、様々な企業においてリモートワーク環境が整い始めたところです。ご家族の応援があっても、ライスフテージによっては、働き続けるのが難しいと感じた時期はありましたか?

デボラ:子育てに関しては、息子たちが生後1ヶ月から3歳になるまで、義理の両親、自分の両親とも、ベビーシッターをしてくれました。そして3歳からは保育園に。主人も地元の企業のエンジニアですので、大変協力的です。そんな中で、2人目の息子が大学に入るまでは、企業の経理部門で働き続けてきました。常に自分に「今一番、大切なものは何か?」ということを問いかけながら。そして、「いつも、自分を大切に、自分らしくある」ということを心がけてきました。ですので、子育て、親世代の病気の看護、そのような状況でも、ワーク・ライフ・バランスをとることができたと思います。

石村:デボラさん、今後は、どのようなことをしていきたいと思いますか?

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デボラ:私は40年間働いて来た中で、多くの人々や社会から、様々な「ギフト」(恩のようなもの)をいただいて、ここまで来ました。とてもありがたいことです。今後は社会に貢献し、その恩返しができれば。今年の年末には退職して、それからは、2つのボランティア活動をしたいと考えていて、あとは、旅行もしたいです。 ボランティアの一つは、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」という、病院の近くに宿泊施設をつくり、長期入院しなければならない子供たちの親を支援する活動です。もうひとつは、高校を出て大学に行きたいと思っても周りに援助がないために、大学進学をあきらめなければならないような状況にある子供たちの、奨学金申請のお手伝いをしたり、奨学金のスポンサーを探したりする仕事を手伝いたいと思っています。

石村:最後になりますが、日本の働く女性への助言があれば、お願いします。

Debraデボラ:私は、男女の平等は大切だと思っています。でも男性と女性は違ったスキルを持っているとも言えます。男性・女性ということよりも、より上質な人間になることを目指すことが重要だと思っています。そしてもう一つ。一歩下がってみて、人生で何が本当に大切かを考えてみることが大事です。20代の頃に大切なことと、40代で大切なこと、60代で大切なことは異なるからです。私は40歳の時、高校のサッカーの試合を見に行きましたし、息子たちや夫、両親と過ごすのを大切にしていました。60歳になり、私の両親はすでに他界しました。そんなことを考えると、人生のそれぞれの時期で、大事なことは異なるんですね。だからこそ、今大切だと思うことにエネルギーを注ぐことが重要だと思っています。

石村:デボラさんのようなすばらしい方を同僚にもっていたことを、大変光栄に思います。貴重なメッセージをありがとうございました。


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