見積システムに求められる機能とは!?
従来のマニュアル環境から脱出し、業務効率化を実現するために“システム化”は避けて通れません。見積業務もその中の一つであり、見積システムを導入することで様々なビジネス効果を得ることができます。
「見積システム」と聞くと、テンプレートを呼び出して見積書作成を行うといったシンプルな機能を想像する方も多いでしょう。しかし実際は、見積システムはもっと広範囲の領域をカバーするものであり、だからこそ見積管理とそれに付随した業務を効率的に行うことができます。
今回は、そんな見積システムが持つ機能について紹介していきます。
※すべての見積システムが同等の機能を備えているわけではないので、製品によって機能に差異があることをご了承ください
1.カスタム(セミ)オーダー機能
カスタムオーダー機能、またはセミオーダー機能はビジネスの拡大と取引先の効率性を考えた機能です。
カスタム(セミ)オーダー。つまり、取引先は基本製品をもとにした様々なオプションの増減を行うことで、セミカスタマイズされた製品を発注することができます。わかりやすい事例で言えば、消費者が自分の好みに合わせてシューズデザインやカラーを選択できる「mi adidas」のようなサービスを、自社ビジネスとして展開できるようになります。
この機能は発注側のメリットを最大化するのはもちろん、取引先ごとの細かいニーズに対応することで収益性を高めるというメリットがあります。そして、こうしたビジネスを実現するITソリューションをCPQ(Configure Price Quote)とも呼びます。
カスタムオーダー機能を備えている見積システムは限られているので、導入時には慎重な選定が必要です。
2.商品管理機能
商品管理機能では各製品情報をマスタとして管理することで、見積業務の効率化と正確性向上を狙います。Excelなどで見積書を作成する場合、営業ごとに該当商品を入力していなければなりません。これが案外手間だったり、ミスが起きやすい環境を作っているのです。
見積業務に時間がかかってしまったり、表記ミスなどがあれば顧客満足度はもちろんのこと、信頼性を低下させてしまう原因もなります。また、営業ごとに統一性のない製品表記では、管理体制の弱さを露呈しているようなものです。
こうした問題を解決するためにも、見積システムでは各製品情報を一元的に管理し、必要に応じて情報を呼び出すことが可能です。これにより見積作成時間を短縮し、かつ表記ミスや統一性のない製品表記を防止します。
3.見積書作成機能
見積書作成機能は、見積システムの中でも基本的な機能の一つです。しかし単に見積書作成をサポートするだけでは芸がないというもの。昨今の見積書作成機能はかなりの進歩を遂げています。
まずEコマースからの受注内容を取り込んで、見積書作成を自動化する製品が増えています。過去に取引のある取引先ならば、事前に登録した取引先情報を反映してくれるので、完全自動化での見積書作成が可能です。
また、新規取引先からの受注であっても、取引先が発注画面にて登録した内容を、そのまま反映させることもできます。
さらに見積書の電子保管から見積分析まで、実に多数の機能を備えているのが見積書作成機能です。
4.承認フロー機能
見積業務において「最も時間のかかる作業が承認フローだ」という企業も多いでしょう。特に複数人の承認を必要とする場合、承認フローが滞ることにより見積書提出が遅くなる場合もあるようです。
こうした承認フロー問題は、電子化されていない環境にあります。例えばメールにて承認依頼を行った場合、他のメールに紛れて気付かない場合もありますし、承認済みの資料を返送し忘れるといったミスもあり得ます。
だからといって、直接的に承認をもらおうとすれば、責任者が不在であったり「拘束されている」と感じさせてしまったり何かと面倒が多いものです。
システム化された承認フローであれば、責任者の好きなタイミングで承認を行うことができますし、かつ承認漏れが起こることも少なくなります。クラウド環境で承認フローを構築すれば、外出先からも承認作業が行えるので、承認フローを効率的に回すことができるのです。
5.取引先管理機能
取引先管理機能は、見積作成にその情報を活かすための側面と、営業支援的側面を持ち合わせています。取引先情報を登録した見積作成に活用するだけでなく、相談内容などを登録して営業活動に活かすことも可能です。
ただしこうした機能を備えている見積システムは少ないので、選定時に注意するから、営業システムとの連携性を確認することが大切です。
6.原価管理機能
見積業務を適正化するためには正確な原価情報が不可欠です。原価とは常に変動しているものですが、これを正確に把握することができれば、利益率を確保しつつ競争力の高い価格提示が行えるようになります。
原価管理機能はそのためのものであり、担当者に対して正確な原価情報を提示します。あるいは、原価管理システムと連携することで原価情報を活用した見積業務が可能です。
“機能”と“システム連携”で違うのは、システム連携の方が原価管理に特化した多数の機能を備えており、見積業務の効率化だけでなく、将来的な仕入先変更リスクなどを予測して生産計画を立てられることにあります。
いずれにせよ、正確な原価情報を管理して見積業務に活かせるのは確かです。
7.情報共有機能
情報共有機能とは、各営業が独自に持つ見積情報などを部門全体で共有することができる機能です。Excelで見積業務を行っている環境では「ノウハウの属人化」という課題がありました。
各営業は自分が作成見積をそれぞれ管理するので、営業ごとのノウハウを共有する環境というのが非常に難しい状態なのです。
見積システムによってオープンな情報共有環境が整えば、部門全体であらゆるノウハウを共有して、営業パフォーマンスを向上させることができます。
8.セキュリティ機能
セキュリティ機能は今やすべてのシステムにとって重要な機能です。昨今深刻化するサイバー攻撃に対し抵抗力を持つためには、やはりシステムごとのセキュリティ機能を活用し、権限管理などを徹底する必要があります。
システムベンダーが運用管理を行っていることから一見関係なく思えるクラウドでも、権限管理の重要性は変わりません。万が一重要な権限が付与されているユーザーアカウントが乗っ取られれば、重大な情報漏えい事件は避けられないでしょう。
9.システム連携機能
最後に、見積システムは多数の周辺システムとの連携機能を備えてます。営業システム、原価システム、購買システム、販売システム、生産システムなどなど、あらゆる周辺システムと連携することで初めて本来の効果を発揮すると言ってもいいでしょう。
まとめ
製品によって異なる部分もありますが、以上が見積システムの機能となります。昨今の見積システムは、単に見積業務を効率化するだけではない、ということがわかりますね。ただ、企業のニーズによっては必要のない機能があったり、または不足している機能があったりもします。
その点に関しては自社にとって最適な製品を見つけること、そして周辺システムとの連携によってカバーすることができるので、まずは現状の見積環境を整理して、機能要件を定義していくことが大切です。
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