多様化する製品情報を最適化!構成作成から見積までフローを自動化

日本の中小製造業の中には「見積業務に翻弄されている企業」が大多数存在します。発注者であるメーカーの調達部は常に原価低減という目標を掲げているため、目標達成のためにとりあえず相見積を行い、部品等を安く製造できる企業を探しています。実に当たり前に繰り返されている事柄なのですが、そもそも「見積が無料」という一般常識も本来は見直されても良い商習慣かもしれません。

見積を1つ出すにも適性な構成や価格情報の確認や提出前に社内承認を取るなど、多くの事務作業が発生し大変な労力になります。中でも中小の製造業などでは社長自らが見積作業を行い、期末や年度末など繁忙期では、本来の業務や商談に集中できないと言った自体も起こりえます。「手間はかかるのに無料」であることは日本独特の慣習でもあり、目に見えないコストになっているばかりか、ミスがあるとクレームや問題につながってしまうため、気も抜けない業務の一つと言えます。

日本市場は買い手が強い商習慣もあり、なかなか見積作成にかかるコストを請求することは難しく、断ると今後の取引にも影響し、心情的にもよくありません。

では、中小規模の製造業では、この状況をどのように対策を取ればよいのでしょうか?本記事ではそのヒントをご紹介します。

解決策は自動化にあり!

現在、多くの情報はデジタル化されて存在し、商品も開発される段階から、CADや製品情報データベースなど、多くの情報をデジタルデータとして保持しています。

一方、購買者に対してもWebや電子カタログ、PDFのブローシャーなど、電子データとして掲載していることが多く、元となる情報は基本的にデータとして存在します。

企業の規模にかかわらず、Webサイトや商品情報サイトは多くの製造業でも完備していて、問題はそこに掲載する情報がどこまで整備されているか?という点にあります。

つまり、中小規模の製造業であっても「見積業務を極限まで効率化する」ことは可能であり、見積を依頼する発注者の立場になっても、スムーズに短時間で必要な見積が提示されることは業務の利便性を高めるばかりか、取引先としての信用を高める効果も期待できます

つまり。見積業務の効率化に成功すれば、見積の翻弄されることなく社長業務に集中できるだけでなく、高い競合優位性を確保して見積時間の長期化による失注を防止したり、見積書作成や生産指示の迅速化を実現したりと、多くのメリットを享受できます。

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この「見積業務の自動化や効率化」を実現するプラットフォームが「CPQ」と言われるソリューションです。CPQは「Configure(製品構成)」「Price(価格設定)」「Quote(見積作成)」の頭文字から取られた名称であり、それぞれ中小製造業に欠かせないプロセスを簡素化するための機能を備えています。

CPQとは?

見積業務は思っている以上に複雑な作業です。メーカーから図面を受け取った上で、大量の自社製品や外注品を取捨選択しながら、部品表を作成した上で個々の原価を算出し、さらにメーカーの要望通りに見積書を作成します。これだけで、数日から1週間見積業務にかかりきりになる企業も少なくありません。そうした問題点を解消するためのCPQですが、どのような環境を実現するものなのでしょうか?

まず「Configure(製品構成)」は、見積を作成する際の製品選択やオプション選択を用意にし、経営者や見積担当者が部品表や仕様書の出力を簡素化する機能を提供します。

次に、「Price(価格設定)」ではメーカーごとの価格設定や値引きなどプライシングにかかわる多様なルールを適用して、正確な製品価格を自動的に提示してくれます。

そして「Quote(見積作成)」は一連の作業にもとづき、見積書や契約書を出力し、それらの書類を適切に管理することができます。

各カテゴリには販売管理を効率化するための細かい機能が備えられており、製品構成・部品表・価格設定・製造可否判断・仕入調達指示・仕様書・見積書作成・契約書作成などをシステム上で完結でき、メーカーの要件確認から具体的な見積提示までのプロセスを短縮化して正確な見積で十分な利益を創出するのに役立ちます。

見積業務のプロセス改善

CPQはこれまで大きな負担がかかっていた見積業務を極限まで効率化し、多くの時間的・人材的リソースを生むためのシステムです。ただし、魔法のツールではないので導入だけでそれらが実現するわけではありません。大切なのは、CPQを導入すると同時に既存の見積業務を整理し、プロセス改善を実施することです。

具体的にはまず、既存の見積業務プロセスにおいて何が非効率的なのか?を考え、問題点を洗い出します。そのために見積業務プロセスのフロー図を作るなどして、作業手順と情報の受け渡し、途中で介入するシステム入力(Excelなど)を可視化しましょう。その上で問題点を洗い出し、適切な姿へと再構築します。

CPQを導入して新しい見積業務プロセスを構築するということは、既存のプロセスをいったん壊して新しく作り変えることなので、一種のBPR(Business Process Re-engineering)を実施しなければいけないわけです。今までのプロセスに縛られながらCPQを導入するのではなく、これを機にプロセスを大きく生まれ変わらせることが大切です。

見積業務プロセス改善のステップ

これまでBPR等を実践したことが無い場合、具体的にどう改善すればよいかが分からないことも多いでしょう。そこで一般的なプロセス改善のステップをご紹介します。

1.    既存の見積業務プロセスの可視化

最初に取り組むべきは、現時点での見積業務プロセスの可視化です。業務フロー図などを作成しながらできるだけ詳細に可視化しましょう。また、プロセス間に介在するシステム入力(Excelでの帳簿作成など)も含めて可視化しておくと、CPQ導入に際し適切なプロセスを構築できます。

2.    問題点の洗い出し

次に、可視化した見積業務プロセスを俯瞰しながら問題点(=非効率的な作業や、本来不要な作業)を洗い出しましょう。すべて洗い出すのではなく、重要度の高い作業における問題点だけを抽出してください。

3.    解決優先度の決定

問題点の洗い出しが完了したら、優先的に解決すべきものを決定していきます。施策効果が高いものや短期的に取り組めるものの優先度を高めに設定して、それぞれに解決案を策定していきます。

4.    より効率的なプロセスへの組み換え

解決案を考慮しながら見積業務プロセスをより効率的な姿へと組み替えていきます。不要な作業の排除、作業手順の組み換え、フォーマットの活用、類似作業の統合などを駆使しながら組み替えていきましょう。

5.    システム導入

新しく構築した見積業務プロセスにシステムを取り入れていきます。適宜、プロセスをシステムに合わせながら導入し、再構築したプロセスとシステムを上手く融合させていきます。

6.    PDCAサイクル

最後に大切なのは、持続的なPDCAサイクルを回すことで。常に改善する姿勢を忘れないことで、見積業務プロセスをより短期間であるべき姿へと変えていくことが可能です。

まとめ

いかがでしょうか。中小製造業にとって見積は、ビジネスの生命線でありコストセンターでもあります。競合優位性を高め、機会損失を防止し、さらに見積にかかる多大なコストを削減するためにも、本記事でご紹介した効率化やCPQ導入をぜひご検討ください。

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