Eコマースの見積管理について
BtoBのEコマースビジネスにおいて、見積管理を徹底することは必須課題です。取引先の見積依頼から見積作成と提示を迅速に行うことで、次のアクションをすばやく行い、ビジネス獲得につなげていくことができます。
しかし実情としては、見積依頼から見積書の提示まで数日から1週間程度を有するケースも少なくありません。これで果たして、顧客満足度を収益を最大化できると言えるでしょうか?
見積管理はEコマースビジネスにおいて、想像以上に重要な機能を持っています。今回は、このEコマースの見積管理についてお話したいと思います。
そもそも見積管理とは?
見積書には、主に次のような項目を記載します。
- 見積日
- 見積ナンバー(管理用)
- 納品する場所
- 納期
- 代金の支払条件
- 見積りの有効期限
- 製品名
- 見積金額
- 値引きの適用
- 値引き額
- 合計金額
見積管理とは、こうした項目が整えられたテンプレートによって見積書を作成し、それを管理するための業務なのでしょうか?答えは「No」です。当然ながら、それだけでは顧客満足度や収益を向上させることはできません。
見積管理とは見積業務における一切の作業を効率化し、かつ情報管理を徹底することで、営業全体でノウハウを共有することにその本質があります。また、見積業務だけでなく関連業務にまで影響を与えることができれば、生産や出荷など、サプライチェーンを最適化することも可能です。
ではどうすれば、見積管理を徹底できるのか?次項でそのポイントを紹介します。
Eコマースの見積管理を徹底するポイント
1.Eコマースシステムと見積システムの連携
まず、Eコマースシステムと見積システムは、密接に連携していなければなりません。取引先がEコマース上で製品仕様を決定し、見積依頼を出した場合、2つのシステムが連携していれば見積作成をかなり効率良く行うことができます。
従ってExcelでの見積管理環境にはどうしても限界があります。見積依頼データを受けてから、データを確認しながらの見積作成では時間がかかる上にミスも発生します。そうしたミスが一度でも発生すれば信頼を欠くことになりますし、やはりスピードの問題もあります。
そのためEコマースにおける見積管理を徹底するためには、Eコマースシステムと見積システムの連携が欠かせません。
2.製品情報と取引先情報の登録
次に、製品情報と取引先情報は、予め見積システムに登録しておく必要があります。特に、多品種少量生産やカスタムオーダーを承っている場合、製品構成が複雑になりやすく、見積ミスも発生しやすくなります。
また、営業ごとに製品表記が異なったり誤表記などのリスクもあるので、見積システム上に登録された製品情報を呼び出すことで、こうしたリスクを回避するのです。
取引先情報に関しても同様で、継続的な取引関係にある企業では予め情報登録を行っておくことで、見積作成スピードを高めることができます。過去の受注履歴からクロスセル・アップセルに繋げることもでき、収益拡大の効果も期待できるでしょう。
3.見積書のデジタル管理
見積システムを導入しておらず、Excelで見積管理を行っている企業でも見積書のデジタル管理は行われています。しかし、「管理するだけ」ならまだしも管理したデータを活用するには至っていないケースが少なくありません。
なぜなら、デジタルデータとして管理している見積は必要に応じて呼び出すことが前提なのですが、Excelでの管理環境ではそれが難しいからです。目的の見積を探すだけでも一苦労だったり、最終的には誰も過去の見積を参考にしないまま、見積業務を行います。
取引のイニシアチブを早々に握るためには、やはり過去の見積もりを参考にしつつ、正しい見積作成を行うことが大切です。
4.ノウハウを蓄積するための環境
営業一人の成績ばかり伸びているような環境では、組織としての利益はいつまで経っても向上しません。大切なのは営業個々のパフォーマンス向上であり、部門全体で営業活動に取り組む姿勢が必要です。
そのためにも、ノウハウを蓄積するための環境が重要でしょう。トップ営業やその他のノウハウを部門全体で共有できれば、見積を提示する段階から効果的なアプローチをかけていくことが可能です。
5.承認フローの高速化
見積作成のスピードを向上させるためには、承認フローを整備しなければなりません。見積作成よりも承認が完了するまでに時間がかかり、見積提示が遅くなるケースも少なくないのです。特に、承認者の外出が多いような場合は、承認フローが滞ってしまうことも多いでしょう。
従って、承認フローを整備することで、徹底した見積管理を実現するためのポイントの一つとなります。
6.原価情報を活用した適正価格の提示
見積作成において適正価格を提示するためには、原価情報の活用が不可欠です。ただし、原価とは常に揺れ動いているものなので、これを把握するための仕組みがいります。一般的には原価管理システムを導入し、原価情報を正しく管理するための環境が必要です。
結論:CPQで徹底した見積管理環境を整える
ここまで見積管理を徹底するためのポイントを紹介していきました。そして、これらのポイントから導き出せる結論は、「CPQで徹底した見積管理環境を整える」ということです。
CPQについて少し説明します。CPQとは「Configure(製品仕様)」「Price(価格設定)」「Quote(見積り)」の3つの頭文字からなるITソリューションです。見積管理を徹底し、かつマス・カスタマイゼーションなどの生産方式を実現するためのシステムとして注目されています。
CPQを導入することでEコマース環境はどう変わるのか?まず、取引先はEコマース上で、細かい製品仕様の決定を行い、見積依頼を出すことができます。それらの情報はすべてCPQによって管理されているので、同時にすばやく見積作成を行うことが可能です。
CPQの導入効果はこれに留まりません。見積作成だけでなく提案書作成や迅速な成果物(BOMや3Dモデルなど)の作成、そして価格設定の簡素化やルール定義や実装が行え、見積業務全体と関連業務の一部を効率良くすることができます。
特にマス・カスタマイゼーションの実現という効果は、製造メーカーにおいて新たな成長のきっかけを作る機会にもなります。大量生産としての生産性を維持しつつ、受注生産としての側面も併せ持ち、顧客満足度と収益の向上に大きく貢献してくれることでしょう。
もちろん、CPQだけでなく見積システムを導入して周辺システムと連携させるという手もあります。しかし、より効果の高い見積管理を徹底するのであれば、CPQを導入するのが最も近道だと言えます。
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まとめ
対面営業と違って、Eコマースの見積管理は取引先の顔が見えない分、難しい点も多くあります。しかしそれはシステム化によって解決することが可能です。CPQではAIを活用したクロスセル・アップセルも可能であり、つまりCPQ自体が自社に営業として機能するのです。
こうした環境を整えることができれば、Eコマースの見積管理を最適化し、効率的に収益をアップさせていくことができます。
シンコムCPQを導入いただいているお客様で見積に要する時間を大幅に削減された事例もございます。事例集にまとめていますので、よろしければこちらもご覧いただき、皆様のご検討にお役立ていただければ幸いです。
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