ウィズコロナ時代のセールスプロセス(1)

 2020.05.28  Osamu Urakawa

2020年、COVID-19(以下、新コロナ)感染拡大によって、これまでのグローバルスタンダードはその役割りを終えて、新しい市場の価値感によって定義される「新しい企業価値」、「製品価値」とはどんなものになるのであろうか?また、ポスト新コロナの時代に、この新しい価値を市場に提供する手段(営業プロセス)とはいったいどんなものになるのでしょうか?
新コロナと共生する時代においては、あらゆる生業における最終命題である「生命の存続」とそれが担保されることが、大前提になることは否めないわけで、このことが、人類の共通課題であり、それを達成するためにこれまで長きにわたり培ってきた社会構造自体をもひっくり返してしまう大きな転換点が必要であることは言うまでもないことだと思います。

近代(日本では明治維新)から昨年までの大前提であった「生命存続の危機」ラッピングのおかげ、このとても大事なことが潜在領域に隠されていたのが「我々の近代~現代」で、このラッピング効果により、社会活動の中では、我々は「生命存続の危機」を感じることは無く過ごしてきたわけです。

ところが、新コロナと共生する時代では、これまで急務であったDX化や個人情報の遵守よりも優先される社会共有の一般常識として、「最も重要な前提条件」が生命存続の危機を回避する生き方であるソーシャルディスタンスを維持することがウイズコロナの時代の「ソーシャル・スタンダード」になるのではないかと筆者は考えます。

企業におけるソーシャルディスタンス(BSD)とは?

まず最初にここで理解しておきたいことは、「ビジネスにおけるソーシャルディスタンス=以下、BSD」とはどういうことを指すのかということを以前投稿した営業プロセス記事を土台にして、もう一度考えてみますと、

一般的な営業プロセスでは、初回訪問(接触)⇒ 情報提供 ⇒ ヒアリング ⇒ ニーズ把握 ⇒ 提案 ⇒ 見積 ⇒ 商談・交渉 ⇒ クロージング、といったステージで進んでいきます。

各ステージにおいてデジタル技術やシステムを積極的に利用することが、BSDを意識したデジタル時代の新しい営業プロセスとなります。たとえば、各ステージで以下のように採用することができます。

    初回訪問(接触)

リード(見込み客)を創出するための訪問やイベント開催といったオフラインの営業活動はBSDの視点では、問題が多く、そもそも、この重要な最初のプロセスが始動できない懸念があります。そのため、BSDが担保されたWebを中心としたコンテンツマーケティングやソーシャルマーケティングなどを織り交ぜた、オンラインにおけるリード創出がウイズコロナ禍の営業活動と言えます。また、リードとのコンタクトを従来の対面に限定せずに、Web会議やチャットなどデジタルチャネルをうまく活用することで、場所や時間などの制約からも開放され効率も一気に向上します。

    情報提供

ウイズコロナ禍では、リードへの製品情報・市場情報・事例情報などを提供するためにだけにわざわざアポをとって訪問する必要はありません。顧客は必要な情報を自分自身で見つけ出す方がストレスも少なく、検討のスピードを損ねることもありません。そのためWebコンテンツを通じて製品情報や構成、概算金額や納期など検討に必要となる情報を提供するための基盤を整えます。電子データでの提供が必要な場合は、PDFでのダウンロードやファイル共有の仕組み、コミュニケーションのためのツールを利用したセキュアな情報提供基盤があるとさらに便利です。ITをさらに有効活用してBSDを確保した情報提供を心掛けることが重要です。

    ヒアリング

営業の立場としては、検討状況や関心事項、課題など顧客の感触をヒアリングすることで案件の確度や商談の進め方を検討します。その時にWebサイトの閲覧記録やダウンロードした資料の内容、Webの訪問頻度など従来の対面営業でのヒアリングでは出てこない顧客行動を把握することができます。また、資料提供の段階で順番に必要な項目(顧客の要求度に合わせた)を設定することで、対面でのヒアリングに変わる情報(顧客の関心度など)の収集も可能となります。顧客からのアプローチに対しては、電話・メールなどに加えて、チャットや問い合わせフォームを介したコミュニケーションを取ることも可能です。ITを利用すれば、BSDでのヒアリングは対面するそれと比較しても質の問題もないのではないかと筆者は考えます。

    ニーズ把握

リードの潜在的なニーズを把握するためには、過去の事例情報から分析を行い、リード自身も気づかないニーズを知ることで競合他社よりも有利に立てます。その際に、CRMに蓄積した情報とBIツール等を連携した自動的なデータ分析を実施したり、ある一定の属性を持つ顧客の行動から購買シグナルを見つけ出すなど、データ分析を元にしたニーズの把握や顧客の分析が可能になります。これまでの対面営業で収集した情報を入力漏れなどのとても残念な理由でニーズ把握のタイミングを逃すのではなく、ITを利用することで漏れることの無いデータに基づいたニーズ把握ができることでしょう。

    提案

ITを利用するBSDの時代には、標準化されたテンプレートと、リードに応じて動的に生成される製品情報・サービス情報を組み合わせて、魅力的な提案書を短時間で提出するシステムを活用します。営業担当者ごとにブレないプロフェッショナル然とした提案書作成により、提案スキルも標準化されて安定的な営業活動が行えます。製品情報では関連する法規制の情報や諸元を忘れずにセットしたり、顧客のニーズを満たす機器構成をナビゲーションにしたがって作成する機能など多くのツールが提案フェーズを支援します。

    見積

適切なタイミングで正確な見積を作成することは、営業プロセスの要です。上手く商談へつなげるためにも、製品やサービスの情報を登録したシステムによって、見積プロセスを簡素化し、さらに効率的な承認プロセスによってリードへの見積提出を素早く行います。また、一定のスキルが求められるような関連機器の構成なども、ITツールを使ってルール化することで誰でも簡単に作成することが可能になります。

    商談

コロナ禍での強制なリモートワークのおかげで、自社の営業担当はもちろん、顧客の意識も変化しています。そのため、これからの商談では、よりITを利用した商談プロセスとなることが容易に想像できます。営業担当者は社内システムへのセキュアなアクセスを可能にしたノートパソコンやタブレットにより、その場で発生したリードの要求に応じて製品構成やデモ映像などを交えながら、ダイナミックな商談によって迅速な意思決定を促します。また、必要なタイミングを逃さないために、過去の商談記録が時系列に保管され、顧客が求める変更や修正にも適切にバージョン管理することで、使用した社内ドキュメントや提出資料などを正しく鮮度を保って管理することができます。

    クロージング

契約締結は書面ではなく、Web契約システムなどを通じてごく短時間で完了させます。現在では電子署名やタイムスタンプなどWebクロージングのための法制度も整えられており、Web上で作成した契約書は電子帳簿としてそのまま保管できます。プロジェクト管理ツールで予め契約後のタスクも管理しておくことで、クロージング以降に始まる実務へスムーズに移行することができます。これらのことも、以前このブログを掲載したときとは違い、いまでは多くの企業がすでに体験済みの話となっているはずです。

以上のように、ウイズコロナ時代の営業プロセスにおける各ステージでは、様々なデジタル技術を活用することができます。さらに、こうした一連の営業プロセスをSFAで管理することにより、タスク整理や進捗管理が行いやすくなり、上司と部下のコミュニケーション促進も図れます。従来の「足で稼ぐ営業」とは大きく違い、営業組織全体が一丸となり、戦略的な営業活動を、BSDを保持しながら、安全に展開することになります。

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営業プロセスのデジタル化はなぜ必要なのか?

コロナ禍の以前、競合他社よりも営業活動を有利に進めていくためには、企業の購買プロセスの初期段階から営業担当者が接触することが求められていました。その点で言えば、「足で稼ぐ営業」というのはかなりの初期段階から接触することになるので、必ずしも非効率的な営業活動ではないのです。しかし、今後はBSDを保つためにも、顧客の購買プロセスのデジタル化は事業継続のためにも不可欠になり、その必要性は高まりました。

スマートフォンやインターネットが普及する以前のビジネスにおいて、企業の情報源と言えば営業担当者が持ち込むカタログです。これが今ではネット上でちょっと検索すれば、製品カタログはもちろん、企業情報や評判、口コミといったありとあらゆる情報が検索でき、しかも複数社との比較も行えます。企業の情報源は完全にネットに移行しているため、増してや、コロナ禍の中、営業担当者が購買プロセスの初期段階から企業に接触するのが困難になりました。

さらに、一説では営業担当者に接触する段階では、購買プロセスの6割が完了していると言います。デジタル化が進んだ現代ビジネスでは、「足で稼ぐ営業」は一見攻めの営業スタイルのように思えますが、実際は受けの営業スタイルに代わっていたのです。また、BSDを保持する風潮に代わるとこの「足で稼ぐ営業」スタイルは顧客から選択されなくなります。

ウイズコロナの時代に必要なのは、オンラインでの接点を積極的に作り、さらにBSDを保持したオフラインのやり取りと組み合わせた営業プロセスやマーケティング戦略を組むことになります。現在ではそれを可能にするデジタル技術やソリューション(ITベンダーが提供する製品や課題解決策)が整えられているので、営業プロセスのデジタル化が必須条件になりつつあるのです。

Webサイトを始め製品やサービスに関する情報をいつでも顧客が見つけられるように整備しておくことは最低条件で、営業活動で必要な情報を持参するのと同様に、関連する情報や付帯する情報を顧客自ら気付いて探さなくとも画面で案内表示されるなど、営業活動で普段実施している内容が実現できる環境をWebサイト上に整備する必要があります。

既存の営業プロセスを見直す

営業プロセスを見直してデジタル化に取り組むためには、営業組織に限定したBPR(Business Process Re-engineering)に取り組むことが有効手段になります。BPRとは、既存の業務プロセス(営業プロセス)を整理し、課題を洗い出し、いったん崩してから再構築するための業務改革手法です。

まず大切なのは、デジタル化を急ぐことよりもBPRによって営業プロセスをあるべき姿に近づけることです。たとえば企業の経営理念や経営目標といった情報から営業の理想像へと落とし込み、それを1つの指針として既存の営業プロセスを見直します。要するに「営業ポリシー」のようなものを設定して、それに沿わない営業活動を抽出した課題として提起するのです。

その際にはBPMN(Business Process Model Notation)などを活用して営業プロセスのフロー図を作成し、関係者が共通認識のもとBPRに取り組めるようにします。そうした営業プロセスをあるべき姿に再構築した上で、ウイズコロナの時代に対応するために、最新のデジタル技術をどのように採り入れられるかを細かく考えていきましょう。

デジタル技術とはつまり、営業プロセス効率化やコミュニケーション促進を図るためのシステムやICTツールを導入することなので、予算との兼ね合いを考えることも大切です。ただし最近では、クラウドサービスの充実化によって急激な出費を抑制できるので、あらゆるシステムやICTツールを視野に入れながらBSDを確保する営業プロセスのデジタル化を目指してみてはいかがでしょうか?

また、当社シンコム・システムズ・ジャパンではデジタル技術を伴う営業プロセス改革のサポートをさせていただいております。ウイズコロナの時代にマッチした、デジタル技術を積極的に取り入れた営業プロセスの構築を検討される際は、ぜひ一度ご相談ください。

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