Eコマースのトレンドと今後の予測
クラウドサービスによりEコマース参入の敷居が低くなったり、デジタル決済が多様化したことでユーザーの購買行動が大きく変化したりと、Eコマース業界は常に変化の連続です。毎年まったく違ったニュースが流れ、違ったトレンドが市場を席巻しています。
こうしたトレンドの変化に対し敏感にアンテナを張り、順応していくことも、Eコマース成功の秘訣と言えるでしょう。
そこで今回は、2017年のEコマース市場におけるトレンドを紹介していきたいと思います。
日本企業のEC化率はどれくらい?
“EC化率”とは国内の全商取引の中で(実店舗を含む)、EC化された商取引を表す数値です。経済産業省は、電子商取引に関する市場調査にて、2014年~2016年にかけてのBtoBとBtoCのEC化率を発表しています。
それによると、BtoBのEC化率が28.3%※、そしてBtoCのEC化率19.8%となっています。
「あれ?意外と少ない?」と思われた方も多いでしょう。そうです、実はEC市場はまだまだ成長市場で、今後もさらなる拡大が期待されています。
今や「Eコマースを運営していて当たり前」と言われている時代ですが、実際はEコマースに進出していない企業の方が圧倒的に多いのです。
※BtoBのEC化率には企業間取引におけるEDI化も含まれているため、高い数値をマークしています
引用:「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」
今だから知っておきたいEコマーストレンド
意外にも成長市場であるEコマース。一見市場が成熟しているため、なかなか参入しづらい面がありますが、実はまだまだチャンスの多い市場でもあるのです。ここでは、そんなEコマースのトレンドを紹介します。
マス・カスタマイゼーション
マス・カスタマイゼーションとは、マスプロダクション(大量生産)とカスタマイゼーション(受注生産)をかけ合わせたもので、新たな生産方式の概念として注目されています。しかし実は、マス・カスタマイゼーション自体そこまで新しいものではありません。
概念として初めて登場したのは1990年代前半のことで、以降いくつかの企業がマス・カスタマイゼーションによる成功を収めています。
ここ最近の具体的な事例で言えばアディダス社の「mi adidas」とハーレーダビッドソン社の「Build Your Own Bike」が有名です。
いずれも一般消費者に向けたサービスですが、Web上で好みの商品を自由にカスタマイズでき、かつ注文まで行えるというサービスです。
マス・カスタマイゼーション。つまり、大量生産としての生産性を維持しながら、顧客の要望に応じた仕様変更にも対応するという生産方式です。今後Eコマース成長のカギは、このマス・カスタマイゼーションを如何に実現するかにかかっているでしょう。
むしろBtoCばかりでなく、BtoBマーケットにおいてマス・カスタマイゼーションは進みつつあり、顧客満足度の向上とトータルリードタイムの短縮を実現します。
オムニチャネル
オムニチャネルとはWebサイトやブログ、SNS、デジタル広告、実店舗といったあらゆるマーケティングチャネルを統合し、顧客にまったく新しい購買体験を提供するための概念およびその施策です。
オムニチャネルを実現することで顧客はオンラインとオフラインを意識することなくショッピングを行うことができ、顧客満足度向上に直結します。また、Eコマースと実店舗の在庫を統合的に管理することで、在庫の圧縮や適正化といった効果があります。
このオムニチャネルが注目を集めたのは数年前のことですが、今などEコマースのトレンドとして存在しています。
Eコマースドローン
2013年12月にAmazonが「Amazon Prime Air」という配送システムを構想してから約4年が経過しますが、着々とその構想を現実に近づけています。2016年12月にはイギリスのケンブリッジにて、ドローンによる試験的な配送を完了させています。
2~3マイル圏内の領域にて、約13分で配送を完了したそうです。移動時の高さは約122メートルを維持し、建物にぶつかる危険性は少ないようですが、雨天降雪時や氷点下での環境は配送が不可能とのこと。
まだまだ実用段階ではありませんが、配送エリアの領空をドローンが行き交う未来はそう遠くないでしょう。
参考記事:「アマゾン、英国で初のドローン配送を完了。Prime Airサービス発表から3年で実現」
ソーシャルコマース
ソーシャルコマースとは、Facebook MarketplaceやPolyvorenoなど、SNS上でEコマースシステムを構築するサービスです。取り組みはすでに進んでおり、現在多くの企業がソーシャルコマースに参入しています。
これまでEコマースにSNSを活用する動きは当たり前に存在しました。SNSを活用したコンテンツマーケティングや、SNS上で広告を配信するソーシャル広告、これらのチャネルを活用し、SNSマーケティングに取り組んできたのです。
しかしソーシャルコマースは、そうした従来のSNS活用を一気に覆すようなもので、SNS上でEコマースを展開できるということは、想像以上の破壊的効果を生みます。
Facebook Marketplaceは現在、ユーザー間で商品売買を行うためのフリマ的要素の強いサービスですが、今後BtoC・BtoBに特化したサービス展開がなされることが期待されています。
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2017年のEコマーストレンド予測は?
では、2017年から2018年にかけて、Eコマース市場のトレンドはどのように変化していくのでしょうか?
欧州の大手EC企業4社のCEO※によると、次のようなトレンド予測があるそうです。
- ドロップシッピングの消失
- 顧客サービスを部分的に捨て、ロジスティクスの最適化に注力する
- 中間業者の排除による利益率の上昇
- 検索エンジンに依存しない形でのブランド構築
果たして本当に上記のようなトレンドが席巻するのか?2017年のEコマースも市場も、大きな変革の年となりそうです。
※Mekster マーカス・フレデリクソン、Marcus Fredricsson クリストファー・タイアフォース、Apica System スヴァン・ハマー、Nordic Etail トーケル・ヘイランダー
参考記事:「【欧州】2017年のEコマース業界トレンドの鍵を欧州の大手EC企業4社のCEOが語る」
まとめ
Eコマースを運営されているまたは導入を検討されているお客様では、こうしたEコマース市場のトレンドを常に追っているのではないでしょうか?
近年、スマートフォンの普及やhtml5など新しいWebアプリケーションの技術メリットを活用したサービスが広がり始め、通常の企業活動においてもコンシューマーマーケットで培われたサービスや技術を利用するケースが増えてきています。
便利なサービスには必ずアイディアとそれを支える技術基盤についても注目していきたいと思います。
シンコムCPQでもすでに各社に導入され様々な成果をあげていますので、そちらもご確認ください。
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