CPQの比較 〜各製品の違いと特長について〜

CPQの比較 〜各製品の違いと特長について〜

Configureは製品仕様や設定。Priceは価格設定や値引きルールの適用。Quoteは見積作成。これら3つの頭文字をとった“CPQ”(あるいはCPQシステム)は、見積業務のパフォーマンスを大幅に向上し、これまでにないビジネスを提供するための顧客向けサービスの1つです。

具体的には、多様化する製品を取り扱う営業活動において、見積作成のスピードを速め正確さを備えた上で、顧客にとって最適な見積や提案を行います。CPQを導入することで、企業はまったく新しいビジネススタイルを手に入れることも可能になるのです。

しかし、そんなCPQ市場も日本国内ではまだまだ成長段階であり、CPQを導入しようと関連情報を収集しようとしても、具体的な情報がまだ少ないのが現状です。

そこで今回は、CPQソリューションについてより理解を深めていただくために、CPQを提供している主要6社とその機能概要を紹介していきます。

いずれも海外のCPQ市場において高いシェアを持つベンダー企業でそれらの製品特長を比較しながらご紹介したいと思います。

Cincom CPQ

製品の特長

  • Microsoft Dynamics、Salesforceなど各種CRMとの連携
  • インターフェースの自由度が高く、企業独自にカスタマイズできる
  • 新たな生産方式としてマス・カスタマイゼーションの実現を支援する
  • コーディングが不要で、プログラマーでなくてもメンテナンスが可能

皆さんは”マス・カスタマイゼーション”という生産方式をご存知でしょうか?大量生産で製造コストを下げるマスプロダクション、そして顧客のきめ細やかない要望に対応する受注生産。マス・カスタマイゼーションとは、これら2つの生産方式を掛け合わせた、新しい生産方式の形です。

Cincom CPQの特徴といえば、このマス・カスタマイゼーションの実現を容易にすることです。Eコマース上では顧客の要望に応じた仕様変更ができるインターフェースを用意し、かつ迅速な見積作成を行えます。

導入事例:シーメンス社
Cincom CPQ Solution Configurator

さらに、BOMや3Dモデルの自動生成といった機能を活用することで、製造工場に発注する顧客がカスタマイズした製品仕様を即時その場で決定し、迅速に生産指示を行うことも可能です。

各種CRM、ERP、PLM等周辺システムとの連携が可能です。特にMicrosfot Dynamicsと連携できるCPQは少ないので、同CRMを導入している企業から高いシェアを獲得しています。

製品構成アプリケーションについては、お客様独自の構成ルールを、コーディングなしで開発することが可能です。

SAP CPQ

製品の特長

  • クラウドでの導入
  • 複雑な見積を即座に設定する性能
  • 任意のプラットフォーム上で任意のチャネルを介した販売を実現する接続機能
  • 組み込み AI による高速な自動見積

ドイツに本社を置くERPソフトウェアメーカー大手のSAP社が提供しているCPQです。SAP CPQ を CRM、e コマース、ERP プラットフォームに連携させることで、販売を加速することができます。
様々なプラットフォームに連携できる接続性が大きな特徴です。組み込み AI による高速な自動見積が実現できます。

Infor CPQ

製品の特長

  • 複数業界に特化した機能を提供
  • ガイダンスに従ってできる簡単な見積作成
  • 複数ソリューションの提供による最適な導入

Inforが提供するCPQの特徴は、様々な業界に特化した機能を有していることです。主に次のような、カスタム製品の製造および販売に携わる業界に特化した機能を提供しています。

  • 航空宇宙・防衛の保守、修理、点検(MRO)
  • 農業用設備・機器
  • 流通、ロジスティクス
  • ドア・窓の製造及び販売
  • ファッション装飾
  • 家具製造及び販売
  • 医療機器メーカー
  • プラスチック製造
  • 印刷・梱包
  • ポンプ・メーター
  • 特殊車両・船舶

以上の業界では汎用システムを導入することが難しく、導入しても特殊な商習慣に対応するための追加開発コストがかかります。Infor CPQは、主にそうした企業をターゲットにした製品だと言えるでしょう。

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Oracle CPQ Cloud

製品の特長

  • 20種類のERPと連携した注文管理
  • 直感で使用できるインターフェース
  • Oracle Cloud上でのシステム稼働

CPQ以外にも様々なクラウドソリューションを提供しているOracleですが、その特徴はやはり、信頼性の高いIaaS/PaaSプラットフォームOracle Cloude上でシステムが稼働していることでしょう。昨今サイバー攻撃による被害が深刻さを増す中、クラウドソリューションを導入する上では「どこで稼働しているのか?」というのも重要な選定ポイントです。

その点で言えば、Oracle Cloudは堅牢なセキュリティ対策により、外部からの不正侵入や情報漏えいを防ぐことができます。

Tacton

製品の特長

  • シンプルで使いやすいインターフェース
  • 製造業に特化した機能
  • 設計自動化による作業効率のアップ

多くのCPQ製品が見積業務の作業効率を高めようと、複雑なシステム設計を行っています。そんな中、Tactonは反対に、シンプルなシステム設計を追求したプレイヤーだと言えます。また、製造業に特化した機能を備えており、見積から資産指示、出荷に至るまでのパフォーマンスを高めます。

Salesforce CPQ

製品の特長

  • 月額9,000円という低コストさ
  • ブランド名を入れた見積書や提案書の作成
  • 予測機能による見積のフォローアップ

CRMベンダーとして世界的に高シェアを持つSalesforce。そのSalesforceが提供するCPQは、同社製品と最も連携しやすいCPQでしょう。意外にも、月額9.000円(1ユーザー)という低コストが目を引く製品です。

CPQは営業のみの利用となるので、中小企業では月間コストが20万円以下に収まる場合が少なくありません。クラウドソリューションなのでシステム運用も必要なく、管理コストがかからないのも特徴ですね。

機能面に関してはブランド名を入れた見積書・提案書の作成や、予測機能が備わっています。予測機能ではフォローアップが必要、あるいは遅れている案件を自動で知らせてくれるので、営業パフォーマンスの向上に貢献します。

慎重な選定で、自社に合ったCPQ導入を

各プレイヤー様々な機能を提供しているCPQ。数あるシステムの中でも、プレイヤーごとの特色が強く反映している製品だと言えます。従って、慎重な選定のもと、自社にとって最適な製品を導入することが何よりも大切です。デモやトライアルはどんどん活用して、実際の使用感を確かめていきましょう。

また、本稿で紹介している情報がすべてではないので、製品比較時は必ず各プレイヤーの情報収集を行ってください。

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