B2Bで使える営業支援ツールとその比較(製造業編)
ビジネスにおけるデジタル活用というのは、一般消費者向けのものに目が行きがちです。しかし。B2B(企業対企業)ビジネスにおいては、デジタル活用の重要度が日々高まっています。
その理由は情報社会が進んだことで、企業の決裁者自ら情報を収集し、早々に意思決定を固めるという購買スタイルが身についたためです。
旧来のB2Bビジネスといてば、システム導入などを検討している企業がピックアップしたベンダーを呼び、コンペなどを開いてから製品選定を開始していました。しかし今では、ベンダーを呼ぶ段階では6割方の意思決定が固まっており、ベンダー主導で商談を進めることが難しくなったのです。
システム導入の担当者や決裁者はネット上で事前に情報収集を行い、それをもとにベストな製品を独自に選びます。ネット上には製品情報だけでなく導入企業の事例や口コミなどが溢れているので、製品選定のためにわざわざベンダーの説明を聞く必要がなくなっているのです。
そのため、他社製品で意思決定がほぼ固まっている見込み客に対し、自社製品を売り込むことは非常に難しいのが現状です。それならばと、ネット上での情報収集という購買行動を逆手に取り、デジタルを活用したマーケティングが拡大しました。
今回はそんな、B2Bで使えるデジタル活用の営業支援ツールについて紹介します。
B2Bで使える営業支援ツール
CPQ
製造メーカーにおいて、顧客ごとに最適な製品構成を提供するためのマス・カスタマイゼーションが注目されています。
多彩な部品からなる製品の場合、顧客と営業の掛け合いによって細かい製品仕様を決めていくには時間もコストもかかります。これは、顧客と製造メーカー双方にとって同じです。しかし、顧客はニーズに沿った最適な製品を常に求めているため、マス・カスタマイゼーションのニーズは増すばかりです。
そこで、CPQというITソリューションが存在します。
CPQとは「Configure(製品構成)」「Price(価格設定)」「Quote(見積)」の頭文字を取ったもので、システムやWebサイト上での細かい製品構成や価格設定、さらに素早い見積もりを可能にするITソリューションです。
CPQを活用することで、営業が細かい製品構成と複雑な価格設定に対して迷うことなく、顧客が求める製品仕様を決めることができます。さらに素早い見積りで製品価格を迅速に提示し、顧客の意思決定をスピーディに行えます。
このITソリューションはWebサイトに実装することで、B2B向けの高性能なECサイト構築も実現します。顧客は専用アカウントからECサイトにアクセスし、自由に製品仕様を決め、価格設定にもとづいて表示された見積金額をその場で確認できます。
こうしたB2B向けのECサイトは、今や多くの製造メーカーが取り入れているデジタル活用方法です。
MA
MAとは「Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)」の略であり、2015年頃から日本でも徐々に導入拡大しているITソリューションです。その概要は、従来人手によって行われてきた見込み客獲得と育成という作業の一部を、自動化するというものです。
セミナーやイベント開催によって獲得した見込み客の中で、そのまま商談に繋げられるのは2割程度といわれています。残りの8割をどうしているかというと、管理されないまま放置されているのが現状です。
しかし、近年の調査によって、放置されていた見込み客の8割が数年後には案件かできる、という調査結果が発表されました。(参考:CiriusDesisions)こうした今まで放置されていた見込み客を案件かしたり、質の高い見込み客を獲得するための活用するのがMAです。
MAにはリードスコアリングとリードナーチャリングという、見込み客ごとに評価をしたり育成するための機能が備わっています。デジタル上での見込み客の行動を追跡し、評価と育成を行うことで、質の高い見込み客を効率的に抽出するのです。
CRM
CRMとは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略であり、今や製造メーカーでは導入していない企業はほとんどないかと思います。CRMの目的は顧客情報の適切な管理と、それをもとに商談を有利に進めていくSFA機能があります。
SFAとは「Sales Force Automation(営業支援)」のことで、営業活動を支援するための機能の集合体です。製品によってはCRMとSFAが切り離されている場合もあります。しかし、最近ではその境界線は曖昧になっているのも事実です。
CRMやSFAは単に顧客情報を管理するだけでなく、顧客との関係を管理するために活用されます。
オンラインチャット
B2Bビジネスにおけるデジタル活用の中で最近増加しているのがオンラインチャットです。Webサイトの各ページにチャットスペースを設け、ユーザーは担当者といつでもそのチャットを通じて製品に関する質問や相談が行えます。
リアルタイム接客とも呼ばれるこのデジタル活用は、今後もB2Bビジネス中心に活用が拡大していくでしょう。
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評価の高いB2Bビジネス向けのWebサイト
B2Bにおいて活用できる営業支援ツールというのは実に多様で、各企業それぞれの用途に応じて使い分けています。皆さんの企業でも必ず、いずれかの営業支援ツールに対するニーズがあるはずです。
現状の営業スタイルを考慮した上で、最適な営業支援ツールを一つ導入してみてはいかがでしょうか?最後に、製造メーカーの中でもユーザーにとって使いやすく、評価の高いB2Bビジネス向けのWebサイトを紹介して終わりたいと思います。
小松製作所
建設機械の世界大手メーカーである小松製作所。同社のWebサイトでは全ての製品ラインナップを掲載しているだけでなく、関連動画という形でコンテンツを配信することで、顧客の購買行動を促しています。
動画によって建設機械に動きなどを紹介することで、デジタル上でも利用イメージが湧きやすく、顧客の意思決定を固めることにつながります。このため、質の高い見込み客を創出しやすく、営業のアプローチ方法も格段に楽になるはずです。
参考サイト:「小松製作所 製品紹介」
オムロン
医療機器を中心とした大手電気機器メーカーのオムロンのWebサイトでは、一般消費者と医療従事者向けにWebページを分けており、それぞれに見やすさを追求したページになっています。
このため、ユーザーは目的の製品を素早く検索でき、Webサイト上で製品仕様を確かめたり使用イメージを固めることができます。
参考サイト:「オムロン 製品紹介」
まとめ
製造メーカーでは企業規模に問わず、デジタル活用の重要性が高まっています。むしろ、企業規模が小さいほど、デジタル活用による見込み客獲得や商談創出が重要だといえます。皆さんの企業でも、これを機に営業支援ツールの導入をぜひご検討ください。適切なITソリューションを導入すれば、営業効率化や課題解決など、様々な効果を期待できます。
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