リレートーク「看護をつなぐICT」第3章

 2016.01.03  シンコム・システムズ・ジャパン

リレートーク「看護をつなぐICT」第3章

小笠原映子氏

平成 5年に聖路加看護大学看護学部看護学科卒業後、聖路加国際病院内科病棟、訪問看護科に勤務。その後平成12年より医療法人樹心会角田病院で教育担当師長等を務めたのち大学院へ。平成17年群馬大学大学院医学系研究科博士前期課程修了、平成24年 9月には群馬大学大学院保健学研究科博士後期課程修了(群馬大学大学院保健学研究科保健学博士)。 大学院と並行し平成17年4月より群馬県総務局総務事務センターに保健師として勤務。平成19年末からは群馬大学医学部保健学科(助教)に。平成22年4月より群馬パース大学保健科学部看護学科に勤務(講師)。平成25年4月より同学科准教授。

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3. ICT導入の障壁は年齢ではなかった

石村: 先生の介入研究でほかにどんな効果が見られたのでしょうか。ご研究についてもう少し詳しくお聞かせいただけますか。
小笠原: 今回5つの訪問看護ステーションで、この情報のICT化の介入研究を行っていまして、介入前と後で質問紙調査をしたんですが、結果としては「個別性の高いケースであっても自信を持って訪問できる」という項目で改善が認められました。また、個別性の高いケアにおいての情報は、情報量が多くなるため把握するのに時間がかかるのですが、情報収集にかかる時間が改善に変化しています。ケア方法の情報を共有するための記録にかかる手間も、申し送りにかかる時間も、この介入によって改善の傾向にありました。画像が分かりやすさにつながって、理解や説明にかかる時間が短くなったと考えられます。

小笠原氏

石村: 医療の世界はとても特殊なものと考えていましたが、情報が最初手書きだったものが画像つきのデータになって、動画も導入されていくというその流れは、他の業界と同じなんだなと思いながらお聞きしていました。 情報提供が短時間でできると、情報提供する側にも受ける側にもメリットがありますね。もちろんそれがよいケアにつながるわけですが。
小笠原: 看護師さんは、病院では30代くらいが多いんですが、在宅は40歳代がメインです。そして特徴としては非常勤が多い。子育てや介護をしながら仕事をしている方が多くて、そうすると情報交換する時間が十分持てなかったりします。そういうこともあって情報共有の効率化というのはとても重要なんです。

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石村: 40代以降の方々に、すんなり受け入れられましたか? どのようにして覚えていただいたんですか?小笠原: ICTに抵抗感のある人もいる状況での導入でした。研修会を何度か開いて説明したり、あとは実際できたものを見ていただいたりして便利なことを伝えたりしましたね。意外だったのが、どちらかというと年齢層の高い方が多かったステーションでうまくいったところがあったことです。そこはPCが得意な若い方がいたわけではなく、一応キーとなる人がいて、その方を中心にみんなで覚えようという雰囲気があったんですね。これはどうしたらいいかという質問も多かったのですが、その都度対応したことで一番早く導入できたんです。年齢だけではないんだなと。

石村: 若い人や得意な人に任せきりというのがなかったんですね。みんなが気軽に「これどうするの?」と聞けるような人間関係があることが、年齢よりも大事なんでしょうね。看護はベテランでもICTを使うのが苦手という人も、若い人にどんどん聞ける雰囲気で、若い人も先輩に何でも言える。なおかつ組織の長が人任せでなくみんなでやっていこうと方向づける。それは一般企業でも同じで、そういう「場」づくりが大切ということですね。それができると組織として動いていくんじゃないかと思います。

第4章:「ICT業務アウトソーシングの可能性」へ続く


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