リレートーク「支援を支えるICT」第3章

リレートーク「支援を支えるICT」第3章

安齊由紀子氏

三菱電機ライフサービス株式会社,ワークサポート事業本部,ウェルネス事業部,東日本ウェルネスセンター,副センター長,兼企画グループ 主査,兼東京支店,総合営業推進室主査(東京支店駐在)。管理栄養士・糖尿病療養指導士・病態栄養専門師 総合病院に管理栄養士として勤務後、平成13年(2001年)に三菱電機ライフサービス株式会社入社。

3. コーチングや運動の知識で重症化を防ぐ

安齊由紀子氏

石村: 今、管理栄養士さんは何名くらいいらっしゃいますか。
安齊: 現時点26名の管理栄養士が全国におります。

石村: みなさんで、たとえば集まられて研修などは頻繁に行われているんですか。
安齊: 年1回、全体研修として管理栄養士のスキル向上のための研修を行っています。また、エリアごとに勉強会、情報交換会、連絡会などを月に1回程度開催しています。

石村: みなさんでシェアをしているという感じですね。それはとっても心強いですよね。
安齊: 指導は対象者様と一対一の業務のため、自分の指導方法に疑問を感じることや迷うこともあります。同じ業務に従事する管理栄養士との意見交換を通して、このような疑問や迷いを話し合うことで解決法を見出すことや、新たな指導方法を発見することも多く、スキルアップだけでなくモチベーションの向上にもつながるので、研修会や連絡会等は重要だと考えています。

CHS保健指導管理カタログ
Cincom ECMカタログ

石村: 研修では具体的にどのようなことを勉強なさるのでしょうか。
安齊: 研修は、特定保健指導の質やスキルの向上に加え、国の動向等の基本情報、社内の新しい施策や具体的な取り組みについて外部講師を活用しながら行っています。また、研修内容については、事前に特定保健指導を担当する管理栄養士にどんなことを学びたいか等の意見や要望をとり、それに応じた内容も取り入れています。

石村:どんなことを学びたいという意見が多いですか。
安齊: コーチングスキルを向上したい、様々な病気に対しての栄養・食事管理を学びたい等、様々あります。  特定保健指導の対象者様の中には受診勧奨レベルの方もたくさんいらっしゃいます。基本的に特定保健指導は予防なので治療となると中止になりますが、病院受診を促しても病院ではなく特定保健指導によって改善していくことを希望する方がいます。このような予防の域を超えている方にも6ヵ月間指導するので、病気と栄養との関係をもっと学びたいという意見が多いです。

石村:これは個人的な思いですが、特定保健指導で培われた能力、知識、指導する技術は、ものすごく進歩されたと思うんです。それが次の段階は重症化を防ぐというところに使われていかなければならないと思っています。特定保健指導の枠組みだけではなく、もっと長い目でつながっていけばいいなと。そのあたりもシステムでお手伝いできるのではと思っているんです。
安齊: そうですね、私は病院に勤務していた時、糖尿病専門外来の栄養指導を担当していました。糖尿病は服薬が始まっても、治療には食生活が重要となるため、管理栄養士は糖尿病の領域にも携わっていきますので、そのような場面でもシステムが活用できると思います。

石村:第二期の方針としてはいかがですか?
安齊: 弊社としての第二期の取り組みは、これまでは予防としての特定保健指導の取り組みを行ってきましたが、今後は重症化対策も目指していきます。今年度から三菱電機グループでは試験的に40歳未満の方の生活習慣病対策の指導が始まっています。

[RELATED_POSTS]

石村:そうするとますます、管理栄養士さん、指導者さんの中では新たな知識や能力が必要になりますね。どのような知識が新たに必要になってきますか?
安齊: 生活改善は食事と運動を一緒に取り組むことで効果が高まるため、運動に関する知識や技術の向上にむけ、運動関連の資格取得も推進しています。弊社が担当している健康増進イベントではインボディ測定(※4)が好評です。現在は運動指導士が測定結果に基づき運動のアドバイスをしていますが、今後は特定保健指導にインボディ測定を組み入れて、食事と運動の両面から生活改善に向けた支援を行うことを計画しています。そのため、これまでのコーチングや病気の知識等に加え、運動に関する知識やスキルの向上が必要と考えています。

石村:食事の調整だけではやっぱり限界がありますものね。
安齊: 特に受診勧奨域での指導では、病気、食事、運動を関連付けての支援が重要となります。

石村:状況に合わせてどんどん専門性を高めていかれるわけですね。すばらしいですね。

第4章:「気づきを促すICT」へ続く


「リレートーク」の最新記事

リレートーク「支援を支えるICT」第3章